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コラム施設の基礎知識ご家族向け

要介護5の施設と費用
— 候補になる施設と「療養型病院」の今 —

要介護5と認定されると、多くのご家族が施設を考え始められます。ただ、調べていると「療養型病院」という言葉に行き当たり、そこで止まってしまうことがあります。 じつは、介護保険が使えた「療養型病院」(介護療養型医療施設)は2024年3月末で廃止され、その受け皿の一つとして介護医療院が創設されています。本記事では、要介護5で候補になる施設を整理したうえで、費用がどう積み上がるのか、在宅を続ける場合はいくらまで使えるのかまでをまとめました。
掲載日:2026.09.04|監修:社会福祉士・入居相談員
この記事の答え

要介護5は制度上は候補になる施設類型が多い一方、実際の可否を決めるのは要介護度ではなく、医療的なケアの内容と必要な介助量です。「療養型病院」のうち介護保険のものは2024年3月末に廃止されました。

要介護5の方は、特別養護老人ホーム(原則要介護3以上)、介護老人保健施設、介護医療院、介護付き有料老人ホームなど、制度上は多くの施設が候補になります。ただし、条件を満たしていても、たんの吸引や経管栄養といった医療的な処置の内容によって受け入れの可否が分かれます。要介護度よりも、必要な処置と夜間の体制のほうが結果を左右します。よく検索される「療養型病院」のうち、介護保険が使えた介護療養型医療施設は経過措置の期限が2024年3月31日に終わって廃止され、介護医療院に移りました(2024年4月1日時点で926施設・53,183療養床)。医療保険の医療療養病床は別の仕組みとして続いています。費用は、施設に入るか自宅で暮らすかで積み上がり方が変わります。自宅で暮らす場合の要介護5の上限は月36,217単位ですが、施設サービスや介護付き有料老人ホームはこの上限の対象外です。
中川 優美(社会福祉士・入居相談員)
この記事の監修者

中川 優美Yumi Nakagawa

社会福祉士。ふれあい入居サポートセンター葛飾相談室にて、入居相談を担当。介護が重くなった方の住まいのご相談も多く受けている。
社会福祉士(国家資格)ふれあい入居サポートセンター 葛飾相談室高齢者向け住まい紹介事業者届出 25-0881
編集ポリシー:本記事は、介護保険法および厚生労働省の公開情報に基づいて執筆しています(2026 年 8 月に確認)。区分支給限度基準額の単位数は2026年9月時点の値です。制度の改定時には最新の情報をご確認ください。受け入れられる医療的な処置は施設ごとに異なります。本記事は個別の施設の優劣を評価するものではありません。実際の費用と対応は各施設およびお住まいの市区町村にご確認ください。本記事内の事例はイメージで、特定の個人を表すものではありません。

まず知っておきたいこと

要介護5の認定が出ると、ご家族はいくつもの判断を一度に迫られます。このまま自宅で見られるのか、施設に移るのか、費用はいくらかかるのか。順に整理していきますが、その前に2つだけお伝えしておきたいことがあります。

1つめは、要介護5は制度上、候補になる施設の類型が多いということです。 特別養護老人ホームは原則要介護3以上が対象ですので、要介護5の方は制度上の条件を満たしています。介護老人保健施設や介護医療院も対象です。要介護5であること自体を理由に、制度上の対象外になるわけではありません。

ただし「候補の類型が多い」ことと「施設がすぐ見つかる」ことは別です。実際の受け入れ先は、後で述べる医療的なケアや介助量によって絞られます。

2つめは、実際に受け入れてもらえるかどうかは、要介護度だけでは決まらないということです。 たんの吸引や経管栄養、在宅酸素といった医療的なケアの内容、夜間の体制、そして必要な介助量を、施設が個別に判断します。要介護5では、二人での介助が必要か、移乗をどう行うか、体位交換の回数、夜間の対応の頻度、認知症による行動といった介護量の側も判断に影響します。

ですから、施設を探すときは「要介護5でも入れますか」ではなく、何を・1日に何回・どの時間帯に・誰が行っているかまで伝えるほうが早く進みます。「たんの吸引が1日6回、うち夜間に2回あります」「胃ろうの注入が朝・昼・夕の3回です」というように、具体的に伝えてください。

要介護5とはどういう状態か

要介護5は、要介護認定のなかでもっとも介護の必要度が高い区分です。日常生活のほぼ全般で介助が必要になり、ご自身の力だけで生活を送ることが難しい状態を指します。

判定は、心身の状況についての調査と主治医の意見書をもとに、介護にかかる手間の量を推計して行われます。病名で決まるものではありません。同じ要介護5でも、寝たきりに近い方もいれば、認知症の症状が重く介助に時間がかかる方もいらっしゃいます。

ご家族にとっては、次のような変化が重なる時期にあたることが多いようです。

  • 食事、排せつ、入浴のいずれにも手を添える必要が出てきた
  • 夜間に何度も起きて対応することが増えた
  • 通院の付き添いが体力的に難しくなってきた
  • 医療的な処置が加わり、覚えることが増えた

これまで葛飾相談室でお会いしてきたご家族を思い返すと、要介護5になる頃には、在宅での生活を続けるか、より支援体制の整った住まいへ移るかを改めて検討される方が多くいらっしゃいます。もちろん、要介護3や4の時点ですでに入居されている方もいらっしゃいます。どちらが正しいという話ではありませんので、判断の材料は別記事「在宅を続けるか、施設にするか」も参考になさってください。

候補になる施設

要介護5で候補になる施設を、介護保険上の位置づけごとに整理します。

施設対象特徴
特別養護老人ホーム(特養)原則要介護3以上費用を抑えやすく、長く暮らせます。地域によって待つことがあります
介護老人保健施設(老健)要介護1以上、急性期の入院治療を必要としないこと原則として常勤の医師が配置され、リハビリの体制があります。在宅に戻ることを目指す施設です
介護医療院要介護1以上長期の療養と生活の場を兼ねます。長期にわたり医療と介護の両方を必要とする方が対象です
介護付き有料老人ホーム施設によりますホームが介護サービスを包括的に提供します。費用の幅が広い類型です
住宅型有料老人ホーム・一般型サ高住施設によります外部の訪問介護・訪問看護を使います。使う量に応じて費用が積み上がります
グループホーム認知症の診断があり要支援2〜要介護5少人数の共同生活の場です。必要な介護量や医療的なケアが施設の人員・医療連携の体制を超えると、継続が難しくなる場合があります

特養の申し込みの仕組みは別記事「特養の入居条件」、老健については「老健とは」で詳しく整理しています。要介護度ごとの見方は「要介護度別の施設の選び方」もご覧ください。

制度上の条件と、実際の受け入れは別です

表のとおり、制度のうえでは多くの施設が候補になります。ですが、施設ごとに受け入れられる状態は違います。とくに次の処置は、施設によって対応が分かれやすいところです。

処置ごとの見極め方は、別記事「胃ろう・痰の吸引がある親の入居先」でまとめています。

なお、施設が「医療対応型」と名乗っていても、それは制度上の類型ではありません。夜間に看護職員が施設内にいるのか、電話で呼ぶ体制なのかは施設によって違いますので、呼び名ではなく体制を確かめてください。

「療養型病院」を探している方へ

要介護5の住まいを調べていると、「療養型病院」という言葉によく出会います。ここは制度が動いたところですので、ていねいに整理します。

介護保険の「療養型」は廃止されました

まず、「療養型病院」は現在の制度上の正式な施設名ではありません。 一般によく使われる言葉ですが、介護保険の施設と医療保険の病床という別の仕組みが混同されて使われてきた言い方です。

かつて、介護保険を使って長期に療養できる介護療養型医療施設(介護保険が適用される療養病床をもつ病院・診療所)という類型がありました。この類型は段階的に縮小され、経過措置の期限が2024年3月31日に終わって廃止されています。

その受け皿の一つとして2018年に創設されたのが介護医療院です。厚生労働省の公表によると、2024年4月1日時点で926施設・53,183療養床となっています。転換したもとをみると、介護療養病床をもつ病院が543施設(58.6%)、診療所が86施設(9.3%)で、医療療養病床から移ったところも一定数あります。

ここで2つ、気をつけていただきたい点があります。

1つめは、廃止された介護療養型医療施設がすべて介護医療院になったわけではない、ということです。 2024年4月1日には、介護医療院のほか、病院や診療所などへ移行したケースもあります。「介護療養型医療施設 → 介護医療院」と一本の矢印では説明できません。

2つめは、介護医療院は単なる名称の変更ではない、ということです。 介護医療院は、長期にわたる療養のための医療と、日常生活上の世話(介護)を一体的に提供する介護保険施設として新しく創設されたものです。日常的な医学管理、看取り・ターミナルケア、そして生活施設としての機能をあわせ持つ施設とされています。

医療保険の「療養型」は続いています

ややこしいのは、「療養型病院」という言い方が2つのものを指してきたことです。介護医療院でも医療は提供されますので、「介護の場か治療の場か」という二分ではなく、介護保険施設として長期の療養と生活を支える場を探しているのか、医療保険による入院治療・療養を必要としているのかで分けて考えてください。

呼ばれ方いまどの保険を使うか
介護療養型医療施設(介護療養病床)2024年3月末で廃止。介護医療院へ介護保険でした
医療療養病床続いています医療保険

医療療養病床は、医学的な治療が必要な方が入院する病床で、いまも各地の病院にあります。ですので、「療養型病院はもうない」という理解も正確ではありません。探しているのが介護の場なのか、治療の場なのかで、行き先が変わります。

判断に迷われる場合は、いま入院中であれば病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)に、在宅であれば担当のケアマネジャーに、主治医が治療の継続を必要と考えているかどうかを確かめたうえで相談してみてください。

ただし、それぞれの相談先にできることには範囲があります。入院中であれば病院のMSW・退院支援の担当者が、退院後の療養先や使える制度について相談に乗ります。ただし院内の役割分担や、個別の施設の空室情報をどこまで扱うかは医療機関によって異なります。担当のケアマネジャーは在宅のサービスの組み立てが本来の役割で、すべての施設の空き状況を把握しているわけではありません。地域包括支援センターは総合的な相談窓口で、地域の施設情報を案内することもありますが、紹介事業者のように空室の照会や見学の調整を行うことを本来の業務とする機関ではありません。どこに何を頼めるかを分けて考えると、話が早く進みます。

費用の積み上がり方

要介護5の費用については、金額そのものより、積み上がり方の違いを先に押さえておくと比べやすくなります。大きく2つの形があります。

定額に近い形(施設サービス・介護付き有料老人ホーム)

特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院といった施設サービスと、介護付き有料老人ホーム(特定施設)では、介護のサービス費が要介護度に応じた定額に近い形になります。そこに次の費用が加わります。

  • 居住費(部屋代)
  • 食費
  • 日常生活費
  • 施設によっては上乗せのサービス費、医療費、おむつ代など

要介護5は要介護度が高いぶん介護のサービス費も高くなりますが、使った量で青天井に増える形ではありません。

使った分だけ積み上がる形(住宅型有料老人ホーム・一般型サ高住・自宅)

住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、そして自宅で暮らす場合は、使った分だけ介護保険のサービス費が積み上がります。家賃や管理費はそれとは別にかかります。

要介護5のように介護の量が多いと、この形のほうが高くなることがあります。「家賃が安いほうが総額も安い」とは限りませんので、月々の合計で比べてください。

具体的な金額について

施設ごとの月額の目安は、要介護度、所得の区分、居室の種類、地域、加算の有無で大きく変わります。この記事では代表的な数字を並べることはせず、正確な最新の金額をまとめている記事へご案内します。

実際に比べるときは、「標準的な月額」ではなく、ご本人の要介護度・所得区分・希望の居室で見積もりを出してもらうことをおすすめします。入院したときの扱いもあわせて確かめておくと安心です(別記事「入居中に入院したら費用と居室はどうなる」)。

在宅を続ける場合

施設に移らず、自宅で暮らし続ける選択もあります。その場合に知っておきたいのが、介護保険で使えるサービスの上限です。

要介護5の上限は月36,217単位

自宅で訪問介護やデイサービス、福祉用具の貸与などを使う場合、要介護度ごとに月の上限(区分支給限度基準額)が決まっています。要介護5は月36,217単位です。

標準的な地域で1単位10円として計算すると、月362,170円分のサービスにあたります。1単位あたりの金額は地域とサービスの種類によって10円を超えることがありますので、実際の金額は地域区分によって変わります。

自己負担が1割の方なら、この上限まで使ったときの1割負担部分はおよそ月36,217円です。この限度額を超えて使った分は全額自己負担になります。

ただし、これは「その月に払う金額の上限」ではありません。 区分支給限度基準額は、あくまで介護保険を適用して使える居宅サービスの量の上限です。実際の支払額には、限度額の管理の対象外になる費用、食費、おむつなどの実費、医療費などが別に加わります。

一方で、介護サービスの自己負担そのものには高額介護サービス費という別の月額上限の仕組みがあります。あわせてご確認ください(別記事「介護費用を軽くする 2 つの制度」)。

本記事では2026年9月時点の基準額を掲載しています。介護報酬は数年ごとに改定されますので、改定の時期にはあらためて確認してください。

要支援1から要介護4までを含めた単位数の一覧は、別記事「介護保険サービスを使い始めるまで」にまとめていますので、ほかの区分もご覧になりたい場合はそちらをご参照ください。

施設に入るとこの上限の話ではなくなります

ここは誤解されやすいところです。特別養護老人ホームなどの施設サービス、介護付き有料老人ホーム(特定施設)、グループホームは、この区分支給限度基準額の対象外です。別の仕組みで費用が決まります。

ですから、「要介護5は月36万円分まで使えるから施設もそのくらい」という計算は成り立ちません。在宅の話と施設の話を混ぜないようにしてください。

在宅の負担が重くなってきたとき

要介護5で在宅を続ける場合、介護をされるご家族の負担が大きくなりがちです。次のような方法で、負担を分けることができます。

  1. ショートステイを定期的に組み込む進め方があります。数日間預かってもらうことで、休む時間を確保できます(別記事「ショートステイとは」)
  2. 訪問看護と在宅医療を組み合わせる進め方があります。医療的な処置がある場合、専門職に入ってもらうことで安全性が上がります
  3. 福祉用具の貸与や住宅改修を見直す方法もあります。介助する側の体の負担が減ります
  4. 地域によっては、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や看護小規模多機能型居宅介護も候補になります。担当のケアマネジャーに、お住まいの地域で使えるかを聞いてみてください

ご家族が限界に近いと感じているときは、ご本人の意思を確かめる努力を続けながらも、担当のケアマネジャーなどに早めに相談して、ショートステイなど一時的に負担を分ける方法を検討してください。倒れてしまっては元も子もありませんので、率直にお伝えいただいて構いません。なお、ご本人やご家族の安全に差し迫った危険がある場合は、合意を待つことより安全の確保を優先し、関係機関につないでください。

なお、意識がはっきりしない、けいれんしている、急に体の片側が動かなくなったなど、急を要する様子があるときは、相談の順番を待たずに救急(119)を呼んでください。介護の相談と、医療の緊急対応は別のことです。

ご本人の意思を確かめる

住まいを変えるかどうかは、ご本人にとって大きな出来事です。要介護5の方はご自身で意思を伝えることが難しい場合もありますが、ご家族の判断だけで決めてよいということにはなりません。

契約の場面では、ご本人が内容を理解して意思表示できるか、難しい場合にご家族などに適切な代理権があるかを確かめることになります。契約などの法律行為について支援が必要な場合には、成年後見の制度の利用を専門の窓口に相談する進め方もあります。表情や以前おっしゃっていたことも手がかりになりますので、ご本人の希望とご家族の希望を分けて考えてみてください。

よくあるご質問

Q. 要介護5だとどんな施設に入れますか。

A. 選択肢は広いほうです。 特別養護老人ホームは原則要介護3以上が対象ですので、要介護5の方は対象になります。介護老人保健施設や介護医療院も要介護1以上が対象です。介護付き有料老人ホームや住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅も候補になります。ただし、制度上の条件を満たしていても、医療的な処置の内容によっては受け入れが難しい施設があります。要介護度よりも、必要な処置と夜間の体制のほうが実際の可否を左右します。

Q. 「療養型病院」を探しているのですが、いまもありますか。

A. まず「療養型病院」は制度上の正式な施設名ではなく、別の仕組みが混同されて使われてきた呼び方です。そのうち介護保険が使えた介護療養型医療施設は、経過措置の期限が2024年3月31日に終わり、廃止されました。その受け皿の一つとして2018年に創設されたのが介護医療院です。ただし、廃止された施設がすべて介護医療院になったわけではなく、病院や診療所などへ移行したケースもあります。厚生労働省の公表では、2024年4月1日時点で介護医療院は926施設・53,183療養床となっています。一方で、医療保険が使われる医療療養病床は別の仕組みとして続いています。同じ「療養型」でも中身が違いますので、探すときはどちらの話かを分けてお考えください。

Q. 要介護5だと介護保険をいくらまで使えますか。

A. 自宅で暮らしながら訪問介護やデイサービスなどを使う場合、要介護5の区分支給限度基準額は月36,217単位です。標準的な地域で1単位10円として計算すると月362,170円分にあたり、1割負担の方なら1割負担部分はおよそ月36,217円です。ただしこれは「その月に払う金額の上限」ではありません。1単位あたりの金額は地域やサービスによって10円を超えることがありますし、限度額の管理の対象外の費用・食費・実費・医療費は別にかかります。介護サービスの自己負担には高額介護サービス費という別の月額上限もあります。なお、特別養護老人ホームなどの施設サービス、一般的な介護付き有料老人ホーム、グループホームはこの限度額の対象外で、別の仕組みで費用が決まります。

Q. 施設に入ると費用はどう変わりますか。

A. 積み上がり方が変わります。 特別養護老人ホームなどの施設サービスや介護付き有料老人ホームでは、介護のサービス費が要介護度に応じた定額に近い形になり、そこに居住費・食費・日常生活費が加わります。一方、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、家賃や管理費に加えて、使った分だけ介護保険のサービス費が積み上がります。要介護5のように介護の量が多い場合、外部のサービスを使う形のほうが高くなることがあります。

Q. 要介護5でもグループホームに入れますか。

A. 制度のうえでは対象になります。グループホームは認知症の診断を受けた要支援2から要介護5の方が対象です。ただし、少人数で共同生活を送る場ですので、必要な介護量や医療的なケアが、その施設の人員・医療連携の体制を超えると、暮らし続けることが難しくなる場合があります。また、地域密着型サービスにあたるため、原則として施設のある市区町村の被保険者が対象です。ただし自治体間の同意による区域外指定で、他市区町村の方が利用できる場合もあります。詳しくは別記事「グループホームの入居条件」をご覧ください。

Q. 特養に申し込んでいますが、待っている間はどうすればよいですか。

A. 待つ前提で、その間の暮らしを組み立てておくと安心です。在宅サービスを組み直す、ショートステイを定期的に使う、費用を抑えた施設を利用するといった方法があります。老健は在宅復帰・在宅療養支援を目的とする施設ですので、リハビリや医学的管理が必要な場合の選択肢です。特養の待機を目的とした利用が認められるかは、施設の入所判定によります。 なお、申し込みは順番待ちではありません。要介護度は優先度を判断する要素の一つですが、在宅で介護する方の状況、認知症の有無、住まいの環境、緊急性なども合わせて総合的に判断されます。要介護5だから直ちに早く入れる、というわけではありません。 介護をする方の状況や在宅での困りごとを具体的に伝えてください。状況が変わったときは、申し込んだ施設に必ず連絡してください。

まとめ

要介護5の施設と費用について、大切な点を振り返ります。

  1. 要介護5は制度上、候補になる施設の類型が多い区分です。特養も対象になります
  2. ただし実際の可否は要介護度だけでは決まりません。医療的なケアの内容・夜間の体制・必要な介助量を施設が個別に判断します
  3. 施設に聞くときは「要介護5でも入れますか」ではなく、何を・1日に何回・どの時間帯に・誰が行っているかまで伝えます
  4. 「療養型病院」は制度上の正式な施設名ではありません。そのうち介護保険の介護療養型医療施設は2024年3月末で廃止されました
  5. その受け皿の一つとして2018年に創設されたのが介護医療院です(2024年4月1日時点で926施設・53,183療養床)。ただしすべてが介護医療院になったわけではなく、病院・診療所などへ移行したケースもあります
  6. 医療保険の医療療養病床は別の仕組みとして続いています。混同しないようご注意ください
  7. 費用は「定額に近い形」と「使った分だけ積み上がる形」に分かれます
  8. 家賃が安いほうが総額も安いとは限りません。月々の合計で比べます
  9. 在宅の限度額は要介護5で月36,217単位。これは使えるサービス量の上限で、支払額の上限ではありません。施設サービスや一般的な介護付き有料はこの限度額の対象外です
  10. ご家族が限界に近いときは、ご本人の意思を確かめながらも、ケアマネジャーに早めに相談してください

要介護5の住まい探しは、条件が重なるぶん時間がかかります。処置の内容から候補を絞り込みたいときは、お気軽にご相談ください。

参考文献・公的資料

  1. 介護保険法(平成9年法律第123号)— 要介護状態区分および施設サービスの対象(e-Gov 法令検索、2026年8月閲覧)
  2. 厚生省告示第33号 — 居宅介護サービス費等区分支給限度基準額(要介護5は月36,217単位。2026年9月時点。2026年9月閲覧)
  3. 厚生労働省「介護療養型医療施設の廃止に伴う留意点について」(令和6年3月29日事務連絡)— 経過措置期限の終了(2026年8月閲覧)
  4. 厚生労働省「介護医療院の開設状況等(令和6年4月1日時点)」(令和6年10月29日修正掲載)— 926施設(I型600・II型319・併設7)・53,183療養床および転換元の内訳(2026年9月閲覧)
  5. 厚生労働省「介護医療院について」— 長期的な医療と介護のニーズを併せ持つ高齢者を対象とし、日常的な医学管理、看取り・ターミナルケア、生活施設としての機能を併せ持つ介護保険施設として創設(2026年9月閲覧)
  6. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」サービスにかかる利用料 — 区分支給限度基準額(要介護5は月362,170円)(2026年9月閲覧)
  7. 厚生労働省「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」(平成11年厚生省令第40号)— 老健の入所要件(e-Gov 法令検索、2026年8月閲覧)

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