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コラム制度とお金施設の基礎知識

費用を抑えて入れる老人ホームの探し方
— 特養と、待つ間の選択肢を社会福祉士が整理 —

「できるだけ費用を抑えて、親の入れる施設を見つけたい」。そう考えても、施設の種類が多くて、どこが現実的なのか分かりにくいものです。 じつは老人ホームは、施設のタイプによって費用の仕組みそのものが違います。この記事では、月々の費用を抑えやすい特別養護老人ホーム(特養)の実際と、特養を待つ間や難しいときに選べる住まいを、費用の仕組みから社会福祉士がやさしく整理しました。
掲載日:2026.07.18|監修:社会福祉士・入居相談員
この記事の答え

月々の費用を抑えるなら、まずは入居一時金がなく食費・居住費の軽減も使える特別養護老人ホーム(特養)が候補になります。ただし入居は原則要介護 3 以上で待機もあるため、待つ間や難しいときの住まいをあわせて考えておくと安心です。

老人ホームは、施設のタイプによって費用の仕組みが違います。とくに、食費・居住費を軽くする「負担限度額認定(補足給付)」が使えるのは、特養・介護老人保健施設(老健)・介護医療院と、ショートステイに限られます。介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では使えません。 だからこそ、まずは施設タイプごとの費用の目安を並べて見比べ、親の状況と予算に合う候補を絞っていくと進めやすくなります。金額は 2026 年 7 月時点で厚生労働省などの公開情報を確認したものです。要介護度・居室のタイプ・所得段階・地域によって変わりますので、最新の額は各施設や市区町村でご確認ください。
中川 優美(社会福祉士・入居相談員)
この記事の監修者

中川 優美Yumi Nakagawa

社会福祉士。ふれあい入居サポートセンター葛飾相談室にて、入居相談を担当。費用を抑えたいというご相談も多く、これまでお会いしてきたご家族の状況に合わせて、費用の見通しづくりから住まい探しまでご一緒にサポートしている。
社会福祉士(国家資格)ふれあい入居サポートセンター 葛飾相談室高齢者向け住まい紹介事業者届出 25-0881
編集ポリシー:本記事の費用・制度の情報は、厚生労働省の公開情報(介護保険最新情報 Vol.1280・Vol.1481 ほか)を 2026 年 7 月に確認して作成しています。金額は要介護度・居室のタイプ・所得段階・地域によって扱いが異なります。ご自身の状況に合う正確な額は、各施設や市区町村の介護保険担当課でご確認ください。本記事内の事例はイメージで、特定の個人を表すものではありません。

費用を抑える鍵は「施設タイプごとに費用の仕組みが違う」こと

費用を抑えたいとき、つい「安い施設はどこか」と一覧で探したくなります。ですが老人ホームは、施設のタイプごとに費用のかかり方が違うため、まずはタイプごとの目安を並べて見比べるところから始めると、無理なく候補を絞れます。

主な施設タイプの、入居一時金と月額のおおまかな目安を表にまとめました。あわせて、食費・居住費を軽くする「負担限度額認定」が使えるかどうかも載せています。

施設タイプ入居一時金の目安月額の目安負担限度額が使えるか
特別養護老人ホーム(特養)なし約 10〜14 万円使える
介護老人保健施設(老健)なし約 11〜15 万円使える
ケアハウス(軽費老人ホーム)0〜数百万円約 7〜20 万円対象外(別の軽減あり)
住宅型有料老人ホーム0〜数百万円約 12〜25 万円対象外
サービス付き高齢者向け住宅(一般型)敷金 0〜数十万円約 12〜18 万円対象外
介護付き有料老人ホーム0〜数千万円約 15〜30 万円対象外

なお、介護医療院 は負担限度額認定の対象になる介護保険施設ですが、医療・療養の必要性がある方の施設であるため、この費用比較表からは除いています。

表を見ると、月々の費用でみて抑えやすいのは、入居一時金のない特養や老健、そして所得に応じた軽減があるケアハウスだと分かります。ただし 老健は、長く住み続けることを前提とした施設ではなく、在宅復帰や次の生活の場への移行を支える施設 です。費用が抑えやすいという理由だけで選ぶのではなく、ご本人に療養やリハビリの必要性がある場合に候補になる、と考えてください。金額は要介護度・居室のタイプ・所得段階・地域によって変わりますので、あくまで目安としてご覧ください。次の章から、なぜタイプによって費用が変わるのか、その仕組みを見ていきます。

負担限度額が使える施設・使えない施設

費用の差を生むいちばん大きな仕組みが、負担限度額認定(補足給付)です。これは、所得の低い方が施設に入るときの食費・居住費(部屋代)を軽くする制度です。ただし、すべての施設で使えるわけではありません。

つまり、同じ「費用を抑えたい」でも、負担限度額が使える施設なら、所得が低い方は食費・居住費が軽くなり、月々の負担がぐっと下がります。一方、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、この軽減はありません。その分は、施設ごとに決まった家賃相当や食費をそのまま支払うことになります。

負担限度額の対象になるのは、住民税が非課税の世帯で、預貯金などの資産が一定額以下の方です。判定では、世帯を分けている配偶者を含む課税の状況や、ご本人・配偶者の預貯金など もあわせて確認されます。ご自身が対象かどうかは、お住まいの市区町村の介護保険担当課で判定してもらえます。認定には有効期間があり、毎年度、更新の申請が必要になることがあります

2026 年 8 月 1 日に、負担限度額の一部が改定されました。 食費の基準費用額と、第 3 段階①・②の方の負担限度額が上がり、利用者負担段階の所得の基準線も見直されています(第 1 段階・第 2 段階の食費・居住費は据え置きです)。

段階ごとの金額は年金額の改定に連動して見直されることがあるため、最新の一覧は別記事にまとめています。制度の全体像と所得段階ごとの早見表は「介護費用を軽くする 2 つの制度|高額介護サービス費と負担限度額認定」、2026 年 8 月改定の変更点は「負担限度額は 2026 年 8 月から改定」をご覧ください。

月々の費用を抑えやすい特養。ただし要介護 3 以上と待機

月々の費用を抑えることを第一に考えるなら、まず候補になるのが特別養護老人ホーム(特養)です。特養は、常に介護が必要で在宅での生活が難しい方が、生活全般の介護を受けながら暮らす公的な施設です。

特養の費用がおさえやすい理由

特養は入居一時金がなく、月額は要介護 5・多床室(相部屋)で約 10 万円、ユニット型の個室で約 14 万円が目安とされています。ただしこれは、一定の所得区分・負担割合を想定した試算の一例 です。要介護度・負担割合・居室のタイプ・所得区分が変われば金額も変わります。また、負担限度額認定を使った場合の金額と、認定を使わない場合(基準費用額)の金額とは別のものですので、混ぜて考えないようご注意ください。実際の額は、施設に条件を伝えて試算してもらうのが確実です。

さらに、前の章でお伝えした負担限度額認定が使えるため、所得の低い方は食費・居住費が軽くなります。この組み合わせが、特養の費用を抑えやすくしています。

入居の条件と、待機について

一方で、知っておきたい点もあります。特養の入居は、原則として要介護 3 以上が対象です。要介護 1・2 の方でも、認知症の症状やご家族の支援の状況などにより、在宅での生活が難しいやむを得ない事情がある場合 は、特例で入居できることがあります。

また、地域によっては申し込みから入居まで待つことがあります。厚生労働省の調べでは、要介護 3 以上で特養への入居を申し込んで待っている方は、全国で約 20.6 万人(2025 年 4 月 1 日時点)とされています。この数字には、長い期間にわたって申込者名簿に登録されている方なども含まれており、全員が調査の時点ですぐに入居を必要としているとは限りません。 待機の期間も地域や施設、申し込む方の状況によって大きく変わりますので、一律に「何か月待ち」とは言えません。

特養は、複数の施設に申し込める場合があります。申し込みの方法や、状態が変わったときに情報をどう更新するかは、各施設・自治体に確認してください。気になる施設が見つかったら、まず申し込みを済ませておくと、その後の選択肢が広がります。特養の費用や選び方は「特別養護老人ホーム(特養)と介護付き有料老人ホームの違い」でも詳しく整理しています。

特養を待つ間・特養が難しいときの選択肢

特養は費用を抑えやすい一方で、要介護度の条件や待機があります。すぐに入居先が必要なときや、条件に合わないときには、ほかの住まいもあわせて考えておくと安心です。ここでは、費用を抑えながら選びやすい住まいを紹介します。

  1. 1
    住宅型有料老人ホーム+外部の介護サービス
    食事や見守りがつく住まいで、介護が必要なときは訪問介護などの外部サービスを組み合わせて使います。月額の目安は約 12〜25 万円と幅がありますが、必要なサービスだけを選べるため、介護が軽いうちは費用を抑えやすい面があります。確認したいのは、外部サービスの契約先を選べるかどうかと、月額に含まれる生活支援と、介護保険サービスの自己負担を分けて見ることです。介護が重くなると外部サービスの分が増える点も、あらかじめ見ておくとよいでしょう。
  2. 2
    サービス付き高齢者向け住宅(一般型)
    見守りと生活相談がついた高齢者向けの賃貸住宅です。月額の目安は約 12〜18 万円で、比較的自立して暮らせる方に向いています。介護は住宅型と同じく外部サービスを利用します。契約の形態は施設によって異なりますので、契約の形態・更新や解約の条件・介護が重くなったときに住み続けられるかを確認しておいてください。
  3. 3
    ケアハウス(軽費老人ホーム)
    比較的少ない費用で暮らせる、公的な性格の住まいです。月額の目安は約 7〜20 万円で、所得に応じて 事務費が軽減される しくみがあります。ただし、管理費や介護にかかる費用は別に確認が必要です。数が限られていて地域によっては空きが少ないこともありますが、費用を抑えたいときに知っておきたい選択肢のひとつです。一般型と介護型の違いや、負担が収入で変わる仕組みは別記事「ケアハウスの入居条件と費用」にまとめています。
  4. 4
    養護老人ホーム
    虐待を受けている、住まいを失った、経済的に困っているといった事情がある場合は、市区町村へ 養護老人ホーム の対象になるか相談できることがあります。ご本人が施設と入居契約を結ぶ形ではなく、市区町村の措置による入所になります。

生活保護を受けている場合でも、受け入れの実績がある施設はあります。特養のほか、生活保護の方の受け入れに対応している有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅もあります。受け入れの条件は施設ごとに異なりますので、実績のある施設を知っている相談窓口に尋ねるのが近道です。ただし、入居の申し込みや契約の前に、必ず担当のケースワーカーに相談し、施設の費用が保護の基準内で認められるかを確認してください

介護付き有料老人ホームは月額の目安が約 15〜30 万円と高めで、負担限度額の対象にもなりません。ただし、施設によって費用の幅は大きく、入居一時金を多めに払うことで月額を抑えられるプランもあります。この場合は月額だけを見るのではなく、想定する入居期間での支払総額と、途中で退去したときの返還の条件 をあわせて比べてください。費用の総額を見比べたいときは、相談窓口に一緒に整理してもらうと分かりやすくなります。

親の年金・預金から現実的な予算を考える

施設のタイプが見えてきたら、次は親の年金や預金から、無理のない予算を考えていきます。焦って高い施設を選んでしまうと、あとで続けられなくなることもあります。まずは月々どのくらいまでなら出せるかを、落ち着いて見ていきましょう。

考え方の目安として、毎月の施設費用を親の年金でまかない、足りない分を預金や家族の援助で補う、という組み立て方があります。ここで大切なのは、年金の全額を施設の表示月額に充てないこと です。年金から、施設の外で必要になる医療費・日用品費などの予備費を差し引いて、継続して支払える上限を考えてください。たとえば年金が月 14 万円の方の場合、施設に充てられるのは 14 万円そのままではなく、予備費を引いた額になります。

なお、ご本人の収入や預金を確かめるときは、ご本人の同意を得たうえで 通帳や年金振込通知書を見せてもらってください。

年金額や預金は、いざ調べようとすると分からないことも多いものです。親の通帳や年金の通知を確認しながら、月々出せる額と施設費用を突き合わせていくと、現実的な候補がしぼれてきます。ご家族だけで数字を整理しきれないときは、そこから相談窓口に手伝ってもらうこともできますので、抱え込まなくて大丈夫です。

よくあるご質問

Q. 特養がいちばん安いと聞きましたが本当ですか。

A. 月々の費用でみると、特養は抑えられる方に入ります。入居一時金がなく、月額は要介護 5・多床室で約 10 万円が目安です。所得の低い方には食費・居住費を軽くする負担限度額認定もあります。ただし入居は原則要介護 3 以上で、地域によっては待機の期間が長い点は知っておきたいところです。金額は要介護度・居室のタイプ・所得段階・地域で変わりますので、最新の額は各施設や市区町村でご確認ください。

Q. 負担限度額認定は有料老人ホームでも使えますか。

A. 使えません。食費・居住費を軽くする負担限度額認定(補足給付)が使えるのは、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院と、ショートステイに限られます。介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅は対象外です。そのため、同じ「費用を抑えたい」でも、施設のタイプによって費用の考え方が変わってきます。

Q. 特養を待っている間はどう過ごせばいいですか。

A. 特養の申し込みは複数の施設に同時に出しておけますので、まず申し込みを済ませておくと安心です。そのうえで、待っている間の住まいとして、住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅、ケアハウスなどが選択肢になります。在宅で介護保険サービスを組み合わせながら待つ方もいらっしゃいます。ご家族だけで抱え込まず、ケアマネジャーや相談窓口に一緒に考えてもらうと進めやすくなります。

Q. 生活保護を受けていても入れる施設はありますか。

A. あります。特養のほか、生活保護を受けている方の受け入れ実績がある有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅もあります。受け入れの条件は施設ごとに異なりますので、実績のある施設を知る相談窓口に尋ねてみるのが近道です。ふれあい入居サポートセンターでも、費用の見通しづくりから受け入れ先探しまで無料でご相談を承っています。

まとめ

費用を抑えて入れる老人ホームを探すときの要点は、次のとおりです。

  1. 老人ホームは施設タイプごとに費用の仕組みが違うため、まずタイプ別の目安を見比べると絞りやすくなります
  2. 食費・居住費を軽くする負担限度額認定が使えるのは、特養・老健・介護医療院とショートステイだけで、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では使えません
  3. 月々の費用を抑えるなら特養が候補ですが、原則要介護 3 以上で待機もあるため、待つ間の住まいもあわせて考えておくと安心です

費用の話は、制度も選択肢も入り組んでいて、ご家族だけで整理しきれないことも少なくありません。お気軽にご相談ください。 ふれあい入居サポートセンターでは、社会福祉士などの専門の相談員が、費用の見通しづくりから、ご予算に合う施設探しまで無料でご一緒に進めます。

参考文献・公的資料

  1. 厚生労働省「特定入所者介護サービス費(補足給付)」関連通知(介護保険最新情報 Vol.1280。2026 年 7 月に確認)
  2. 厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1481(令和 8 年厚生労働省告示第 88 号、2026 年 8 月 1 日施行分)
  3. 厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」(要介護 3 以上 約 20.6 万人、2025 年 4 月 1 日時点)
  4. 厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額」
  5. 金額・費用の目安は要介護度・居室のタイプ・所得段階・地域によって異なります。ご自身の状況に合う正確な額は、各施設や市区町村の介護保険担当課にご確認ください。

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