要介護度は施設選びの出発点になりますが、それだけで決まるわけではありません。要介護度で候補をしぼり、そこから医療・認知症・費用・希望を合わせて選んでいきます。

中川 優美Yumi Nakagawa
要介護度は出発点
要介護度は、施設選びの出発点になります。施設によって「原則、要介護 3 以上」といった入居のめやすがあるからです。ただし、要介護度だけで入る施設が決まるわけではありません。医療の必要度や認知症の有無、費用、ご本人の希望も合わせて考えます。
まずは、要介護度ごとに候補になる施設のめやすを、表で見てみましょう。
| 要介護度のめやす | 候補になる施設の例 |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 原則として要介護 3 以上。要介護 1・2 は特例入所の検討あり |
| 介護老人保健施設(老健) | 要介護 1〜5。医学的な管理のもとでリハビリなどを受け、在宅復帰や次の生活の場への移行をめざす場合 |
| 介護医療院 | 要介護 1〜5 で、長期の療養のための医療と、日常生活上の介護を続けて必要とする場合 |
| 認知症グループホーム | 要支援 2・要介護 1〜5 で認知症がある方。原則として施設のある市区町村に住民票がある方 |
| 介護付き有料老人ホーム | 対象になる介護度は施設によって異なります |
| 住宅型有料老人ホーム・サ高住 | 対象になる介護度は施設によって異なります |
| ケアハウス(軽費老人ホーム) | 一般型か、特定施設の指定を受けた介護型かで異なります |
要介護度は、必要な介護の手間を総合的に判定した区分 です。同じ要介護度でも、状態や必要な支援は一人ひとり異なります。表はあくまで入口の整理で、要介護度だけでなく、必要な支援の中身で候補を絞っていく ことが大切です。とくに 医療の必要度は要介護度とは別に確認 してください。
この表はあくまでめやすです。次の章から、順に見ていきましょう。
要介護度とは
要介護度は、介護がどのくらい必要かを、要支援 1・2 と、要介護 1 から 5 までの段階で表したものです。数字が大きいほど、介護の必要が大きいことを示します。市区町村に申請し、調査と審査を経て決まります。申請から結果までの流れは、別記事「要介護認定の申請から結果までの流れ」で詳しく解説しています。
要介護度は、介護保険で使えるサービスの上限(区分支給限度基準額)にも関わり、要介護度が上がるほど上限も大きくなります。施設を選ぶときは、この要介護度が、入居できる施設のめやすのひとつになります。
要介護度別の候補施設
要支援 1・2 または要介護 1・2 の場合
介護認定上、要支援 1・2 または要介護 1・2 の方は、選べる施設の幅が広くなります。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、外部の介護サービスを使いながら暮らせます。賃貸住宅に近い運営で自由度の高い住宅もありますが、生活のうえでのルールは施設ごとに確認してください。
ケアハウス(軽費老人ホーム)も候補です。ケアハウスは、一般型か、特定施設の指定を受けた介護型か で受けられる介護が変わりますので、どちらかを確かめてください。介護付き有料老人ホームにも、要介護 1・2 の方が入居できる施設があります。サ高住と住宅型の違いは、別記事「サ高住と住宅型有料老人ホームの違い」で整理しています。
要介護 3 以上(介護の必要が大きい)
要介護度が高い場合は、夜間を含めて必要な介助をどの体制で提供できるか が重要になります。費用を抑えたい場合は特別養護老人ホーム(特養)が候補で、原則として要介護 3 以上が対象です。要介護 1・2 の方でも、認知症・障害・虐待・独居・家族による支援が難しいなどの事情で在宅での生活が難しい場合は、特例入所が検討されることがあります。
なお、「要介護 3 になったら特養」と単純に進むわけではありません。要介護 3 以上は申し込みの対象になりますが、空いている居室の状況や入所の必要性などによって、待つ場合があります。
ご夫婦で一緒に入居されたい場合は、介護付き有料老人ホームなどの特定施設が候補になります(居室の定員について、夫婦であることが例外の理由として運営の基準に定められています。別記事「夫婦で入れる老人ホーム」)。
介護も日々の見守りもまとめて任せたい場合は、介護付き有料老人ホームが候補になります。この場合、夜間を含む職員配置があり、施設の介護サービスとして必要な介助が提供されます。医療への対応は、看護職員の配置や協力医療機関を施設ごとに確認してください。
入院のあと、医学的な管理のもとでリハビリなどを受け、在宅復帰や次の生活の場への移行をめざす段階なら、介護老人保健施設(老健)という選択肢もあります。長期の療養のための医療と介護を続けて必要とする場合は、介護医療院が候補です。特養と介護付き有料老人ホームの違いは、別記事「特養と介護付き有料老人ホームの違い」をご覧ください。
認知症がある場合
認知症がある場合は、要支援 2・要介護 1 以上で、認知症の方が少人数で暮らすグループホームが候補になります。原則として、施設のある市区町村に住民票がある方 が対象です。また、診断があれば必ず入れるわけではなく、認知症の状態、共同で暮らすことへのなじみやすさ、医療の必要度などを施設が確認して、受け入れの可否を判断 します。
認知症がある場合の候補はグループホームだけではありません。認知症のケアと安全面に対応できるほかの施設 も候補になります。
なお、いまの認定と実際の状態が大きく異なると感じる場合は、ケアマネジャーなどに 区分変更の申請 を相談してみてください。また、虐待・住まいを失った・経済的に困っているといった事情がある場合は、要介護度とは別に、市区町村へ 養護老人ホーム の対象になるか相談する方法もあります。認知症のある方の施設選びは、別記事「認知症で徘徊がある親の施設選び」でも解説しています。医療的なケアが多い場合は、別記事「医療依存度が高い親の入居先」も参考になります。
要介護度以外に見るべき点
要介護度で候補をしぼったら、次の点を合わせて考えると、合う施設が見えてきます。
- 医療の必要度:たんの吸引や経管栄養など、医療的なケアが続いているか
- 認知症の有無:認知症のケアに慣れた施設かどうか
- 費用:月額の内訳と、要介護度が上がったときの見込み
- 立地:ご家族が通いやすいか
- 本人の希望:どんな暮らしを望んでいるか
とくに大切なのは、「要介護度が上がっても住み続けられるか」です。介護を外部サービスで受ける施設では、重度になると住み替えが必要になる場合があります。将来を見据えて、入居前に確認しておきましょう。
よくあるご質問
Q. 要介護度で、入れる施設は決まりますか。
A. 要介護度は、施設選びの出発点になりますが、それだけで決まるわけではありません。たとえば特別養護老人ホーム(特養)は原則要介護 3 以上が対象、といった入居のめやすはあります。ただし、実際には医療の必要度、認知症の有無、費用、ご本人の希望なども合わせて考えます。要介護度は候補をしぼる目安として使い、そこから中身で選んでいくとよいでしょう。
Q. 要介護 1・2 でも入れる施設はありますか。
A. 施設ごとに対象になる方は異なりますが、要介護 1・2 を受け入れる施設はあります。介護付き有料老人ホームや住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、ケアハウスなどが候補になります。認知症がある場合は、要支援 2・要介護 1 以上でグループホームも候補になります(原則として施設のある市区町村に住民票がある方が対象です)。特別養護老人ホームは原則要介護 3 以上ですが、認知症・障害・虐待・独居・家族による支援が難しいなどの事情で在宅での生活が難しい場合は、特例入所が検討されることがあります。
Q. 要介護度が上がったら、施設を移らないといけませんか。
A. 要介護度が上がったというだけで、直ちに退去になるとは限りません。介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームなどは、夜間を含む職員配置があり介護の体制は比較的整っていますが、医療への対応や退去の条件は別に確認が必要です。介護を外部サービスで受ける住宅型有料老人ホームやサ高住も、施設によって対応の幅があります。類型名で判断せず、夜間の排せつ介助・二人での介助・認知症の症状・医療処置・看取りに将来対応できるかと、契約上の退去の条件を、入居前に確認しておくと安心です。
まとめ
要介護度別の施設選びは、要介護度を出発点にしながら、中身で決めていくのがこつです。最後に要点を整理します。
- 要介護度は候補をしぼる目安です。特養は原則要介護 3 以上(要介護 1・2 は特例入所の検討あり)、老健・介護医療院は要介護 1〜5 などのめやすがあります
- 要支援 1・2 と要介護 1・2 は選べる幅が広く、要介護度が高い場合は夜間を含めた介助の体制が焦点になります
- 要介護度に加えて、医療・認知症・費用・立地・本人の希望を合わせて選びます
要介護度をきっかけに考えはじめると、候補が整理しやすくなります。どこから手をつければよいか迷われたときは、お気軽にご相談ください。ふれあい入居サポートセンターでは、社会福祉士などの専門の相談員が無料でご相談を承っています。
参考文献・公的資料
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」「要介護認定」(2026 年 7 月確認)
- 各施設類型の入居要件は厚生労働省の関係省令・通知に基づく原則です。実際の受け入れは施設・自治体の運用により異なります。
