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コラム入居の準備ご家族向け

老人ホームに断られたとき
— 理由の型と、次に打つ手を社会福祉士が整理 —

見学まで進んだのに断られた、申し込んだきり連絡が来ない。そうしたときは、「親の状態が悪いからだろうか」「もう入れる施設はないのではないか」と、気持ちが沈んでしまいますよね。 ただ、断りの理由には ご本人の状態とは関係のないもの も多く含まれます。本記事では、断られる理由を 6 つの型 に分けたうえで、理由の聞き方と、型ごとに次へどう動けばよいかを整理しました。
掲載日:2026.10.18|監修:社会福祉士・入居相談員
この記事の答え

断られたときは、まず「何が理由だったか」を施設に確かめてください。理由が分かれば、次に申し込むべき施設の条件が決まります。

断りの理由は、大きく分けて「空きがない」「職員の体制」「医療的なケア」「認知症などへの対応」「費用の見通し」「書類・手続き」の 6 つに整理できます。このうち前の 2 つは ご本人の状態とは関係がなく、時期や施設を変えれば結果が変わる種類のものです。理由を確かめないまま次の施設を探すと、同じ理由でまた断られることになりがちです。まず理由を聞き、そのうえで候補の条件を組み替えてください。
中川 優美(社会福祉士・入居相談員)
この記事の監修者

中川 優美Yumi Nakagawa

社会福祉士。ふれあい入居サポートセンター葛飾相談室にて、入居相談を担当。「見学まで行ったのに断られた」「申し込んだまま返事が来ない」というご相談を多く受け、断りの理由の確かめ方から次の候補選びまでをご一緒に進めている。
社会福祉士(国家資格)ふれあい入居サポートセンター 葛飾相談室高齢者向け住まい紹介事業者届出 25-0881
編集ポリシー:本記事は、入居を断られたあとの進め方を、ふれあい入居サポートセンターでの相談実務をもとに整理したものです。受け入れの基準・断りの理由の伝え方・再度の申し込みの扱いは、施設ごとに大きく異なります。本記事は一般的な進め方を示すもので、個別の結果をお約束するものではありません。本記事内の事例はイメージで、特定の個人を表すものではありません。実際の取り扱いは各施設にご確認ください。

断られるのは珍しくない

はじめにお伝えしておきたいことがあります。入居の申し込みが通らないことは、施設探しの途中でごく普通に起こります。

老人ホームは、申し込めば必ず入れる場所ではありません。施設ごとに、受け入れられる状態の範囲が決まっています。その範囲は、建物の造り・職員の数・看護師がいる時間帯・提携している医療機関など、施設側の事情で決まっている部分が大きく、ご本人の努力で変えられるものではありません。

ですから、断られたことは ご本人やご家族が否定されたという意味ではありません。 「この施設の体制とは、いまの状態が噛み合わなかった」という、条件の合う・合わないの話です。

とはいえ、そう頭で分かっていても、実際に断られると気持ちは落ち込みます。とくに見学まで進んで、親御さんも前向きになりかけていた場合はなおさらです。そのお気持ちは自然なものですので、無理に切り替えようとしなくて構いません。

そのうえで、次に進むための手がかりになるのが、何が理由で断られたのかをはっきりさせることです。ここが分からないまま次の施設に申し込むと、同じ理由でまた断られることになりがちです。

断られる理由の 6 つの型

これまでご相談を受けてきたなかで、断りの理由はおおむね次の 6 つに整理できると感じています。型によって、次に打つ手がまったく変わります。

型どんな理由か本人の状態と関係するか
1. 空きがない条件に合う居室が空いていない、空き待ちの方が先にいる関係しない
2. 職員の体制その時期に夜間などの職員を配置できない関係しない
3. 医療的なケア必要な医療の処置に対応できる体制がない関係する
4. 認知症などへの対応見守りの体制や建物の造りが状態に合わない関係する
5. 費用の見通し月々の支払いが続く見通しが立たない関係する(お金の面で)
6. 書類・手続き求められた書類がそろわない、要件を満たしていない場合による

1. 空きがない

いちばん多い理由です。「満室です」「空き待ちの方がいます」という形で伝えられます。

同じ施設でも、居室のタイプによって空き方が違うことがあります。個室は空いていないが多床室なら空いている、その逆もあります。断られたときは、どのタイプが空いていないのかまで聞いておくと、判断の材料が増えます。

2. 職員の体制

居室は空いていても、その時期に職員を配置できないという理由で受け入れを止めていることがあります。とくに夜間の体制は、人が足りない時期があります。

この理由の場合、施設は「いまは新規の受け入れを止めています」といった言い方をすることが多いように思います。時期が変われば結果が変わる種類の断りですので、いつごろなら再度の相談ができそうかを聞いておいてください。

3. 医療的なケア

たんの吸引・胃ろう・インスリンの注射・在宅酸素・人工透析の通院など、医療的なケアが必要な場合、対応できる施設は限られます。

同じ処置でも、「日中だけ対応できる」「夜間は対応できない」という形で線が引かれていることがあります。断られたときは、処置そのものが難しいのか、時間帯の問題なのかを分けて聞いてください。この違いで、次に探す施設の条件が変わります。

医療的なケアがある場合の探し方は、別記事「胃ろう・痰の吸引がある親の入居先|対応できる施設の探し方」と「人工透析を受けながら入れる老人ホーム|送迎の壁と探し方」で詳しくまとめています。

4. 認知症などへの対応

ひとりで外に出てしまう、夜に眠れず動き回る、他の入居者との関わりが難しい、といった状態への対応が理由になることがあります。

これは 状態そのものより、施設の造りと見守りの体制の問題であることが多いように思います。玄関の造り、職員が常にいる場所からの見通し、夜間の人数などによって、受け入れられる範囲が変わります。同じ状態でも、体制の整った施設なら受け入れられることがあります。

外に出てしまうことがある場合の施設選びは、別記事「認知症で徘徊がある親の施設選び|受け入れ先と見極め方」をあわせてご覧ください。

5. 費用の見通し

月々の支払いを続けられる見通しが立たない場合、施設が受け入れを見送ることがあります。入居してから支払いが滞ると、ご本人にとっても施設にとっても難しい状況になるためです。

この理由で断られた場合は、予算に合う施設を探し直すほうが、無理に通そうとするより結果として安全です。費用を抑える方向での探し方は、別記事「費用を抑えて入れる老人ホームの探し方|特養と待つ間の選択肢」で整理しています。

6. 書類・手続き

健康状態の書類がそろわない、施設が定める要件を満たしていない、といった理由です。

たとえばグループホームでは、認知症の診断や、施設と同じ市区町村に住民票があることなどが条件になります。特別養護老人ホームにも要介護度の要件があります。要件そのものを満たしていない場合は、書類をそろえても結果が変わらないことがありますので、条件に合う別の類型もあわせて探すことになります。要件の取り扱いは施設・自治体によって異なりますので、個別にご確認ください。

なお、保証人や身元引受人として誰に立ってもらうかという要件も、施設ごとに定め方が異なります。 どういう役割の人が何人必要なのか、断られた理由がここにあるのかどうかは、施設や担当のケアマネジャーにご確認ください。

理由の聞き方

理由を確かめるところが、いちばん大切な一歩です。ただ、「どうして駄目だったのですか」と正面から聞くと、当たり障りのない答えで終わってしまうことがあります。

聞き方を少し変えると、次に使える答えが返ってきやすくなります。

  • 「どういう状態であれば、受け入れが可能でしょうか」 断られた点ではなく、受け入れの線を聞く形です。答えが「夜間の吸引が必要でなければ」のように具体的になると、次の施設に何を確認すればよいかが決まります
  • 「時期が変われば、変わる可能性のある理由でしょうか」 空きや職員の体制が理由なら、再度の相談ができる時期を教えてもらえることがあります
  • 「今回は、どの点がいちばん大きかったでしょうか」 理由が複数ある場合に、優先順位が分かります

聞きにくいと感じるときは、担当のケアマネジャーや相談員から聞いてもらう方法もあります。専門職同士のほうが、率直なやりとりになりやすい面があります。

また、施設によっては 他の入居希望者の事情にかかわる部分は答えられないことがあります。答えが返ってこなかったとしても、施設が不誠実というわけではありませんので、その場合は別の候補に切り替えてください。

型ごとの次の一手

理由が分かったら、型に応じて次の動きを決めます。

型次の一手
1. 空きがない空き待ちの登録ができるか確認し、同時に他の候補にも申し込む。居室タイプを広げると見つかることがある
2. 職員の体制再度相談できる時期を聞いておく。待つあいだ、他の候補を並行して進める
3. 医療的なケア処置ごとの対応可否を、次の施設には申し込む前に確認する。看護師の配置時間帯まで聞く
4. 認知症などへの対応見守りの体制が整った施設、グループホームなど別の類型も候補に入れる
5. 費用の見通し予算に合う類型へ広げる。使える軽減のしくみがないか、ケアマネジャーや市区町村に相談する
6. 書類・手続き不足している書類を整える。要件そのものを満たしていない場合は、条件に合う別の類型を探す

共通して言えるのは、次の施設には「申し込む前に」確認するということです。3 と 4 の型で断られた場合、同じ点を先に電話で確認しておけば、見学と申し込みの手間を重ねずに済みます。

どの類型が候補になるかが分からないときは、別記事「要介護度別の施設の選び方|候補になる施設と見るべき点」から見ていくと整理しやすいと思います。

申し込み方を見直す

断られたあとのご相談で、進め方そのものを見直したほうがよいと感じることがあります。

1 件ずつ順番に進めていないか

「まずここに申し込んで、駄目だったら次を探す」という進め方は、丁寧に見えて、時間がかかりやすい進め方です。1 件の結果が出るまでに数週間かかることもあり、その間に在宅の状況が変わってしまうことがあります。

条件に合う候補が複数あるなら、並行して申し込むほうが現実的です。申し込みの段階では入居を確定する必要がないのが一般的ですので、複数に申し込んでおいて、決まったところから選ぶ形が取れます。

ただし、辞退できるかどうかと、支払ったお金が返ってくるかどうかは別の話です。申込金や仮押さえの費用がある場合は、辞退したときの扱いを先に確認してください。

伝える情報が足りていないか

施設は、渡された情報をもとに受け入れの可否を判断します。情報が少ないと、施設は慎重な判断をしがちです。

とくに、状態が変わってきている場合は、いつの情報かで判断が変わります。担当のケアマネジャーや、入院中であれば病院の相談窓口(医療ソーシャルワーカー)から、いまの状態が分かる情報を施設に渡してもらうと、判断の材料が整います。情報の引き継ぎは、ご本人の同意を得たうえで行われます。

条件を絞りすぎていないか

立地・費用・居室のタイプ・入居の時期を、すべて希望どおりに満たそうとすると、候補が数えるほどになってしまいます。

どれかひとつを緩めると候補が増えることがあります。ご家族が通う頻度と移動時間を具体的に考えたうえで、地域を少し広げられないか。個室でなければ難しいのか。譲れない条件と、譲れる条件を分けておくと、探しやすくなります。

紹介の事業者に相談する方法もあります。事業者ごとの仕組みの違いは、別記事「紹介事業者の選び方|手数料の仕組みと見分けるポイント」で説明しています。

急いでいるときの動かし方

退院の期日が迫っている、在宅の介護がもう続けられない、という状況で断られると、追い詰められた気持ちになります。

その場合は、施設探しと、いまの負担を下げることを、分けて同時に進めてください。

  • いまの負担を下げる ショートステイの利用、在宅サービスの回数を増やすなど、いま使える手を担当のケアマネジャーと確認します。ショートステイの使い方は、別記事「ショートステイとは|使える場面・予約のこつ・入居への橋渡し」でまとめています
  • 動ける施設から候補にする すぐに受け入れられる施設は限られます。空きがあることに加えて、ご本人に必要な支援を提供できるかを必ず確かめてください
  • 病院の相談窓口を使う 入院中であれば、退院支援の担当者が退院先の検討と施設への情報提供を支援してくれます

退院の期日がある場合の動かし方は、別記事「退院期日が迫る場合の施設選び — 10 日で動かす実務フロー」で、日程の組み方まで整理しています。

担当のケアマネジャーがいない場合は、お住まいの地域包括支援センターが相談の窓口になります。ご家族だけで探し続ける必要はありません。

やらないほうがよいこと

急いでいるときほど、あとで困る形になりやすい進め方があります。

  • 状態を実際より軽く伝える 受け入れてもらうために、できないことを控えめに伝えたくなることがあります。ただ、入居後に 必要な介護が提供できないと分かり、短期間で退居に至ることがあります。ご本人にとっていちばん負担の大きい結果になりますので、状態はそのままお伝えください
  • 条件を確かめないまま契約を急ぐ 「空いています」という一点で決めてしまうと、費用や退去の条件があとから問題になることがあります。契約前に確認したい点は、別記事「重要事項説明書の読み方|契約前に必ず確認したい 8 項目」にまとめています
  • 見学を省く 急いでいても、可能であれば一度は見てください。見学で確かめたい点は、別記事「老人ホームの見学で社会福祉士が必ず見る 12 のチェック」で説明しています
  • ご家族だけで抱え込む 断られ続けると、誰にも言えなくなることがあります。ケアマネジャー・地域包括支援センター・相談員のいずれかに、いまの状況を話してみてください

よくあるご質問

Q. 老人ホームに断られたのは、親の状態が悪いからでしょうか。

A. そうとは限りません。断りの理由には、ご本人の状態とは関係のないものも多く含まれます。居室が空いていない、夜間に配置できる職員がその時期だけ足りない、といった施設側の事情で断られることもあります。まずは何が理由だったのかを施設に確かめてください。理由が分かると、次にどこへ申し込めばよいかが見えてきます。

Q. 断られた理由を施設に聞いてもよいのでしょうか。

A. お聞きになって構いません。多くの施設では、受け入れが難しいと判断した点を説明してもらえます。ただし、他の入居希望者の事情にかかわる部分は答えられないこともあります。「どこが合わなかったか」ではなく「どういう状態であれば受け入れが可能か」という聞き方をすると、次の施設を探すときに使える答えが返ってきやすくなります。

Q. 一度断られた施設に、あらためて申し込むことはできますか。

A. 断りの理由によります。居室の空きや職員の配置が理由だった場合は、時期が変われば受け入れられることがありますので、再度の申し込みが可能かを確認しておくとよいでしょう。医療的なケアの体制が理由だった場合は、その体制が変わらない限り結果は同じになりやすいと考えられます。再申し込みの扱いは施設によって異なりますので、断られたときに合わせて確認しておくと二度手間を防げます。

Q. 何件くらいに申し込んでおけばよいですか。

A. 何件が適切かは、地域の施設の数・空きの状況・急ぎ具合によって変わりますので、一律の目安はありません。ただ、1 件の結果を待ってから次を探す進め方は、時間がかかりやすくなります。条件に合う候補が複数あるなら、並行して進めるほうが結果として早く決まることが多いと感じています。申し込みの段階では入居を確定する必要がないのが一般的ですが、辞退したときの申込金の扱いは施設ごとに確認してください。

Q. 断られ続けて、在宅の介護が限界に近づいています。

A. その状態は、施設探しとは別に手を打つ必要があります。ショートステイで一時的に介護から離れる、在宅サービスの回数を増やすなど、いま使える手をケアマネジャーと確認してください。担当のケアマネジャーがいない場合は、お住まいの地域包括支援センターが相談の窓口になります。施設が決まるまで持ちこたえる、という考え方ではなく、いまの負担を下げる方法を並行して探すのが現実的です。

まとめ

断られたときにやることを、最後に整理します。

  1. 断りの理由を施設に確かめます。「どういう状態であれば受け入れが可能か」という聞き方が使えます
  2. 理由を 6 つの型に当てはめます。空きと職員の体制は、ご本人の状態とは関係がありません
  3. 型に応じて、次の候補の条件を組み替えます。医療的なケアが理由なら、次は申し込む前に対応可否を確認します
  4. 1 件ずつ順番ではなく、条件に合う候補に並行して申し込みます
  5. 急いでいるときは、施設探しと並行して、いまの介護の負担を下げる手をケアマネジャーと確認します

断られることが続くと、行き先がないように感じられてくると思います。ただ、断りの理由が分かれば、探す先は絞り込めます。ご家族だけで抱え込まず、お気軽にご相談ください。まだ何も決まっていない段階で構いません。

参考文献・公的資料

  1. 本記事の「断られる理由の 6 つの型」と各型への対応は、ふれあい入居サポートセンターの相談実務にもとづく整理です。統計にもとづく割合を示すものではありません(2026年9月時点)。
  2. 受け入れの基準・断りの理由の説明のしかた・再度の申し込みの扱いは、施設ごとに異なります。個別の取り扱いは各施設にご確認ください。
  3. グループホーム・特別養護老人ホームの入居要件は、それぞれ別記事で解説しています。要件の最新の取り扱いは各施設・各自治体にご確認ください。

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