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コラム施設の基礎知識ご家族向け

老人ホームの見学で社会福祉士が必ず見る
— 12 のチェックを社会福祉士が解説 —

候補となる施設まで絞ることができ、いよいよ見学日が来週。「何を見ればいいんだろう」「短時間でちゃんと判断できるだろうか」と緊張しているかもしれません。 初めての見学で緊張しないご家族はほとんどいらっしゃいません。施設の数だけ見るポイントもあり、しかも 1 件あたりの見学時間は 1 時間ほどしか取れないことが多いです。短時間で何を見て、何を聞き、何を後回しにすればよいのか——。社会福祉士として見学同行をしていると、ご家族が「これでよかったのか」と帰り道で立ち止まる場面によく出会います。 この記事では、入居相談員として見学同行のときに 必ず見ている 12 のチェック を、5 つのグループに分けて整理してお伝えします。見学は「印象を集める場」、契約条件は「重要事項説明書で詰める場」と切り分けると、見学時に何を優先すべきかが見えてきます。
掲載日:2026.05.19|監修:社会福祉士・入居相談員
この記事の要点

老人ホームの見学は、「印象を集める場」と「契約条件を詰める場」を切り分けると効率的です。

見学では、入口の第一印象 → 居住空間 → 人の動き → 医療・ケア体制 → 運営の透明性、の 5 グループ 12 項目を確認します。月額費用や退去要件などの契約条件は、見学では概要を聞くにとどめ、契約前の重要事項説明書で詰めるのが現実的です。本記事では、社会福祉士が見学同行のときに必ず見ている 12 のチェックを整理してお伝えします。
中川 優美(社会福祉士・入居相談員)
この記事の監修者

中川 優美Yumi Nakagawa

社会福祉士。ふれあい入居サポートセンター葛飾相談室にて、入居相談を担当。年間 100 件を超えるご家族の見学同行を行い、施設の医療体制・運営の透明性・職員の動きを 12 項目で評価して、ご家族の判断をサポートしている。
社会福祉士(国家資格)ふれあい入居サポートセンター 葛飾相談室高齢者向け住まい紹介事業者届出 25-0881
編集ポリシー:本記事は、有料老人ホームの運営基準については厚生労働省「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」(令和 6 年 12 月 6 日改正)、施設情報の取得については厚生労働省「介護サービス情報公表システム」、施設類型の根拠については老人福祉法 第 29 条と公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」、見学現場の知見についてはふれあい入居サポートセンター葛飾相談室の見学同行経験に基づいて執筆しています。施設ごとの対応範囲は変動するため、最新の情報は各施設にご確認ください。本記事内の事例はイメージで、特定の個人を表すものではありません。

見学の目的を整理する

見学に行く前に、ご家族の中で 見学の目的 を整理しておくと、当日の集中力が大きく変わります。

見学は「家族の納得」を作る場

見学の目的は、施設のスペック情報を集めることではありません。ご家族が「ここなら親を任せられる」と思えるかどうか、自分の目で確かめる ことです。

月額費用・看護師配置・受入条件・退去要件などの 数値や条件は、パンフレットや重要事項説明書、入居相談センター経由でも入手できます。むしろこうした条件は、見学の場で口頭で聞くと記憶があいまいになりがちで、後で齟齬の原因になります。

見学でしか得られないのは、現場の空気・人の動き・建物の使われ方 です。職員の表情、入居者の様子、共有スペースに人が集まっているか、玄関の匂い——これらは見学の場でしか感じ取れない情報です。

第一印象も十分にデータ

「見学で受けた印象」は、しばしば「もっと客観的に判断すべき」と軽視されがちです。実際には、見学時の第一印象は 総合的な経験データ で、長年の見学同行の経験から言うと、印象が悪い施設はあとから具体的な問題が出てくることが多いです。

第一印象を否定せず、「なぜそう感じたか」を言語化することで、判断材料として活かせます。本記事の 12 のチェックは、印象を言語化する手がかりとして使ってください。

見学に行く前の準備

見学の効率を上げるには、事前の準備が 7 割と言われます。次の 5 点を整えておくと、見学当日に集中できます。

候補の絞り込みは 3〜5 件

見学する施設は 3〜5 件 が現実的です。1〜2 件では比較対象が少なく、6 件以上だと記憶が混ざります。入居相談センターやケアマネジャーと相談して、費用・立地・医療体制で絞り込んでから見学を予約します。

時間帯は平日昼の 11:00〜14:00 が目安

見学に推奨される時間帯は 平日昼の 11:00〜14:00 です。理由は次のとおり。

  • 入居者が起きていて、施設の日中の活動が見られる
  • 食事時間(11:30〜13:00)にあたると、食堂の雰囲気や食事内容も確認できる
  • 職員のシフトが日勤帯で、人員が手厚い時間帯(夜間や早朝は人員が薄い)

土日に見学が組みづらい施設もあるため、平日 1 日休みを取って 2〜3 件回るのが効率的です。

予約の取り方

ほとんどの施設は 電話予約 が必要です。1 週間前までに予約するのが望ましく、退院期日が迫っているケースでは「来週中に見学したい」と急ぎを伝えれば、対応してもらえる施設も多いです。

予約時に伝える情報:

  1. 入居検討者(親)の氏名・年齢・要介護度(わかれば)
  2. 現在の住まい(自宅・病院・別施設)
  3. 入居希望時期
  4. 同伴者の人数
  5. 質問したい主なテーマ(医療体制・費用・看取りなど)

事前に質問テーマを伝えておくと、見学当日に担当者が資料を準備してくれることが多いです。

持っていくもの

持ち物用途
メモ帳・筆記用具チェック項目の記録
スマートフォン写真撮影(許可があれば)・録音(許可があれば)
親の介護保険被保険者証のコピー受入条件の確認に使うことがある
親の薬リスト・お薬手帳のコピー医療体制の確認に使うことがある
質問リスト聞き忘れ防止
重要事項説明書・契約書のひな形既に取得済みの場合は持参

写真撮影・録音は施設によって可否が分かれます。事前に「メモ用に撮影してよいですか」と確認してから行います。

家族の役割分担

複数のご家族で見学に行ける場合は、事前に役割分担 を決めておくと効率的です。

  • 質問担当(記録より話に集中)
  • 記録担当(メモ・写真を取る)
  • 観察担当(職員・入居者の様子を見る)
  • 質問担当が複数いると話が重なるので、メイン質問者を 1 人に絞る

一人で見学に行く場合は、メモを取りながら同時に観察することが難しいため、録音許可をもらえると後で振り返りやすくなります。

見学で必ず見る 12 のチェック

見学で確認する 12 のチェックを、5 つのグループに分けて整理します。それぞれの項目は、「どう感じたか」を 3 段階で記録 すると、後の比較がしやすくなります。

A. 入口・第一印象(チェック 1〜2)

1. 玄関・エントランスの清潔さと匂い

玄関は施設の顔です。清掃が行き届いているか、匂いが気にならないかを確認します。

  • 玄関に靴・物が散乱していないか
  • 床・壁の汚れの程度
  • 匂い(排泄臭・薬品臭・湿気の匂いなど)

匂いは見学時の重要なシグナルです。介護施設に多少の生活臭はありますが、強い排泄臭が漂う場合は清掃・換気の運営上の問題 が考えられます。

2. 受付・案内の対応

受付や案内担当の対応も、施設の運営姿勢を映します。

  • こちらを迎えてくれる姿勢があるか
  • 待たされる場合の説明があるか
  • 担当者の名乗りと自己紹介

「家族として遠慮なく質問できる雰囲気か」を、最初の数分で感じ取ります。

B. 居住空間(チェック 3〜5)

3. 居室の広さと採光

実際に入る予定のフロア・タイプの居室を見せてもらいます。

  • 居室の広さ(ベッド・タンス・車椅子を置いた状態を思い浮かべながら見ます)
  • 採光(窓の有無・大きさ・向き)
  • 換気の様子
  • 私物の置き方(許容範囲、家具持ち込み可否)

「親が好きな写真や本を持ち込めるか」が、その後の暮らしの自由度に直結します。

なお、居室の広さの基準は施設の類型によって考え方が異なります。有料老人ホームでは厚生労働省の「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」が 13 ㎡以上を目安として示していますが、これは自治体が指導に用いる指針で、法律で一律に定められた最低面積ではありません。サービス付き高齢者向け住宅は原則 25 ㎡以上ですが、居間・食堂などの共用部分が十分に確保されている場合は 18 ㎡以上でも登録できます。面積の数字だけで比べず、実際に見て使えるかどうかで判断する のが現実的です。

4. 共有スペースの使われ方

リビング・談話室・廊下などの共有スペースが、実際に入居者に使われているか を見ます。

  • 誰かが居間でテレビを見ている・話している
  • 廊下で職員と入居者がすれ違いざまに挨拶している
  • 共有スペースが使われている気配があるか(掲示物・置かれている物・座席の配置)

共有スペースに人がいる施設は、入居者間の交流が生まれやすい傾向があります。

ただし、共有スペースが静かだからといって、それだけで判断はできません。食事の前後や昼休みなど、時間帯によっては人が少ないのが自然です。気になった場合は、「この時間帯はいつもこうですか」「日中はどのように過ごされる方が多いですか」と聞いてみるか、違う時間帯にもう一度見学すると、実際の様子がつかめます。

5. 食堂と食事の様子

食事は入居者の日々の楽しみで、施設のケアの質が現れる場でもあります。

  • 食堂の清潔さ・採光
  • 食事のメニュー(介護食・刻み食・ペースト食の対応)
  • 食事中の入居者の表情と職員の介助の様子
  • 嗜好への配慮(行事食・選択食の有無)

可能であれば、見学時に 1 食試食させてもらえるか 尋ねてみてください。試食に対応している施設もあります。ただし、試食の可否・費用・事前予約の要否は施設によって大きく異なり、実施していない施設もあります。見学の予約を取るときにあわせて確認しておくとスムーズです。

C. 人の動き(チェック 6〜8)

6. 職員の表情・声のトーン

職員の表情と声は、その施設の人材教育・職員の働きやすさを映します。

  • 入居者と話しているときの表情(笑顔・しかめ面)
  • 声のトーン(落ち着いた声か、命令調になっていないか)
  • 職員同士のやり取り(連携が取れているか、対立的でないか)

職員が 「忙しすぎる」表情 をしている施設は、人員配置に余裕がない可能性があります。

7. 入居者の表情と服装

入居者の様子から、日々のケアの質が見えてきます。

  • 入居者の表情(穏やか・無表情)
  • 服装(清潔・整っているか)
  • 髪・髭・爪の手入れ
  • 車椅子の入居者が放置されていないか

「入居者一人ひとりが個別に大切に扱われているか」を、ぱっと見の印象で確認します。

8. 職員と入居者のやり取り

職員が入居者に対してどう関わっているかは、施設の理念を映します。

  • 名前を呼んで話しかけているか(「◯◯さん、こんにちは」)
  • 入居者の話を遮らずに最後まで聞いているか
  • 介助時に「これから◯◯しますね」と声かけがあるか
  • 子ども扱い・幼児言葉になっていないか

声かけが丁寧な施設は、入居者の尊厳を大切にする方針が浸透しています。

D. 医療・ケア体制(チェック 9〜10)

9. 看護師の常駐時間と医療体制

医療依存度の高い親の場合は特に重要です(詳細は別記事「医療依存度が高い親の入居先」で解説)。

  • 看護師の常駐時間(24 時間 / 24 時間オンコール / 日中のみ)
  • 嘱託医の訪問頻度と専門科
  • 協力医療機関と救急対応の流れ
  • 対応可能な医療処置(経管栄養・痰吸引・在宅酸素など)

事前にパンフレットで把握しておき、見学時に 具体的な処置名を出して 対応可否を確認します。

ただし、「24 時間・オンコール・日中のみ」という分け方だけでは、実際にどう対応してもらえるかは分かりません。次のように、対応の流れ まで踏み込んで聞いておくと、体制が具体的に見えてきます。

  • 夜間に体調が変わったとき、最初に対応するのは誰か
  • 看護師や医師へは、どのタイミングで・どうやって連絡するか
  • 介護職員が対応できる範囲はどこまでか(認定特定行為業務従事者の配置の有無を含む)
  • 救急搬送を判断する目安と、家族への連絡のしかた

10. ナースコール対応と夜間人員

夜間に親が体調を崩したとき、誰がどう対応するかを確認します。

  • ナースコールの設置場所(ベッドサイド・トイレ・浴室)
  • ナースコールに対応する職員数(夜間)
  • 夜間の人員配置(介護職員何人・看護師の有無)
  • 呼んでから来てもらえるまでの目安と、その間の対応

ナースコールの応答時間に公的な基準はありません。施設の規模・フロア構成・夜間の人員によって変わるため、「何分以内」と数字で比べるより、「夜間に呼んだとき、どなたがどう対応されますか」と流れで聞く ほうが実態がつかめます。

夜間の体制は施設によってさまざまです。医療処置が必要になったときにどこまで対応できるかは、処置の内容や、認定特定行為業務従事者の配置状況によっても変わります。親に必要な処置を具体的に挙げて、夜間の場合どうなるかを確認 しておくと安心です。

E. 運営の透明性(チェック 11〜12)

11. レクリエーション・行事の中身

入居者の日々の暮らしを彩るのが、レクリエーションと行事です。

  • 月間レクリエーション予定表の掲示
  • 行事の頻度(季節行事・誕生日会・外出企画)
  • レクリエーションへの参加強制の有無(参加したい人だけ参加できる雰囲気か)
  • 入居者の興味に合わせた個別企画があるか

「レクリエーション = 折り紙とカラオケのみ」のような画一的な施設は、入居者の興味や経験を反映する余地が少ないことがあります。

12. 苦情対応窓口の明確さ

入居後に何かトラブルがあったとき、どこに相談できるかを確認します。

  • 施設内の苦情受付窓口の有無
  • 外部の苦情相談窓口の掲示(市区町村の介護保険担当課・国民健康保険団体連合会)
  • 苦情解決の流れの説明
  • 苦情を受けたあと、どう改善につなげているか

第三者委員(苦情解決に関わる外部の中立的な立場の方)を置いている施設もあります。設置が義務づけられているかどうかは施設の種別によって異なり、有料老人ホームでは必須ではありません。置いているかどうかは、透明性を見るための手がかりのひとつ として受け止め、設置がない場合は外部の相談窓口がどう案内されているかを確かめてください。

見学で聞きにくいことを聞く方法

見学では、聞きづらいテーマも避けずに確認したいところです。次の 5 つは、特に「家族として聞いておきたい」項目です。

看護師の夜間体制

聞き方の例:

「夜間に親が体調を崩した場合、どのように対応していただけますか?看護師さんは夜間も施設にいらっしゃるか、それともオンコールでしょうか」

「夜間も看護師がいるか」を直接聞くと、「いる・いない」の答えになりがちです。対応の流れ を聞くと、施設の実際の体制が見えてきます。

退去要件

聞き方の例:

「親の状態が変わって医療依存度が高くなった場合、退去になる基準はどのようなものでしょうか?重要事項説明書の該当箇所を見せていただけますか」

退去要件は、入居後に状態が変わったときに直結します。「契約書を見ないとわからない」と曖昧にされる場合は、その時点で施設の透明性に疑問が残ります。

看取り対応

聞き方の例:

「親が最期のときを迎えるとき、施設で看取りまで対応していただけますか?これまでどのように対応してこられたか、差し支えない範囲で教えていただけますか」

看取り対応の方針は施設で大きく差があります。件数だけでは、規模の小さい施設の実態はつかめません。これまでの実績と、実際にどう対応したかの事例 をあわせて聞くと、体制の手厚さや、ご家族との関わり方が見えてきます。

苦情への対応のしかた

聞き方の例:

「入居者やご家族から苦情やご要望があったとき、どのような流れで対応されていますか?改善につながった事例があれば、差し支えない範囲で教えていただけますか」

「トラブルはありましたか」と聞くと、実際に件数が少ない施設は答えようがありません。「どう対応しているか」「どんな改善をしてきたか」を聞く ほうが、施設側も答えやすく、運営の姿勢が具体的に見えてきます。

費用シミュレーション

聞き方の例:

「親の場合(要介護◯、月の医療費の自己負担◯円、介護保険負担割合◯割)の月額費用のシミュレーションをいただけますか」

見学時に確認したシミュレーションは、後で他施設と比較する基礎データになります。

見学後の比較表の作り方

見学が終わった後、印象を 翌日までに言語化 することが大切です。3 件以上見学すると、施設の印象が混ざりやすくなるためです。

縦軸に 12 のチェック項目、横軸に施設名を並べ、3 段階で評価を入れます。

チェック項目A 施設B 施設C 施設
1. 玄関の清潔さ・匂い◎○△
2. 受付の対応○◎○
3. 居室の広さ・採光○○◎
4. 共有スペースの使われ方◎△○
5. 食堂と食事の様子○◎○
6. 職員の表情・声◎○△
7. 入居者の表情・服装○○△
8. 職員と入居者のやり取り◎○○
9. 看護師配置・医療体制○◎○
10. ナースコール・夜間人員○◎△
11. レクリエーション◎○○
12. 苦情対応窓口○○△
総合◎ 多◎ 数件・○ 多△ 散在

比較表は、見学に来られなかったご家族にも共有します。「現場に行った人の主観」が伝わるよう、各項目に 30 字程度のコメント を添えるとより分かりやすくなります。

全項目を 12 段階で評価しても、「なんとなくピンとこない」という感覚が残ることがあります。この感覚は 判断を保留するサイン として尊重するのが穏当です。決め切らずに、もう 1 件追加で見学する、家族会議でじっくり相談する、入居相談員に意見を求める、などの選択肢があります。

ケース別の見学の組み立て方

ご家族の状況によって、見学の組み立て方は変わります。代表的な 5 つの場面で どこに気をつけるか を整理します。

ケース A:退院期日が迫っている

時間が限られている場合は、見学件数を 3 件に絞り、1 日で 2〜3 件回るスケジュールにします。

  • 入居相談センターに事前絞り込みを依頼
  • 平日 1 日休みを取って 11:00 / 13:00 / 15:00 の 3 件を回る
  • 12 項目のうち、医療体制・退去要件・空き状況を最優先で確認
  • 見学後の比較は翌日までに済ませる

まずは、病院 MSW と入居相談員に「退院期日が迫っており、見学を急ぎたい」と最初に伝えてください。

ケース B:親が遠方に住んでいる施設を見学

ご家族が現地に住んでいない場合は、効率重視で組み立てます。

  • 候補施設は事前に オンライン面談 で絞り込み(複数施設で可能)
  • 現地への訪問は週末 2 日で 4〜5 件回る
  • 親の住所地の入居相談センターに依頼すると、効率的に手配できる
  • ビデオ通話で 遠方の家族も見学に参加 できることが多い

まずは、親の住所地の入居相談センターに相談し、見学スケジュールを 1 日でまとめてもらえないか確認してください。

ケース C:医療依存度が高めの親

医療体制を中心に見学します。

  • 看護師の常駐時間と認定特定行為業務従事者の配置を必ず確認
  • 嘱託医の訪問頻度と協力医療機関を具体的に
  • 過去の同じ医療処置の入居者の対応事例を聞く
  • 詳細は別記事「医療依存度が高い親の入居先」を参照

まずは、見学予約時に「親の医療処置の一覧」を伝え、対応可否を電話で事前確認しておきます。

ケース D:認知症のある親

認知症ケアの方針が施設で大きく異なります。

  • 認知症対応の経験豊富な職員がいるか
  • 認知症対応型ユニット(または認知症対応型介護付き有料)の有無
  • 徘徊・夜間の対応事例
  • グループホームも候補に入れる(住所地の制約あり)

まずは、見学時に「認知症の症状の出方」を正直に伝え、施設の受入可否と対応経験を確認してください。

ケース E:一人で見学に行く

複数のご家族で行けない場合は、効率的に情報を集める工夫が必要です。

  • 録音許可を取って、後で聞き返せるようにする
  • 写真撮影で記憶を補う
  • 12 項目のチェックリストを印刷して持参
  • 帰り道の電車・車の中で、まだ記憶があるうちに 3 段階評価をつける
  • 別のご家族に 当日中に電話で報告 すると、印象が整理される

まずは、入居相談センターに同行を依頼する選択肢も検討してください。社会福祉士などの専門の相談員が一緒に行くと、聞きにくい質問の代行や 12 項目の評価のサポートが受けられます。

よくあるご質問

Q. 見学に親本人を連れて行くべきですか?

A. 親の状態と希望によります。入院中で動けない場合は無理に連れて行く必要はなく、ご家族で見学した後、写真・動画で親に共有する形が現実的です。動ける状態であれば、最終候補の 1〜2 件は親と一緒に見学する ことをおすすめします。本人が「ここで暮らせそうか」を肌で感じることで、入居後の納得感が変わります。

Q. 見学だけでは決められません。判断のコツはありますか?

A. 1 回の見学で決め切れない場合は、2 回目の見学 を予約してみてください。多くの施設で 2 回目の見学に応じてくれます。違う時間帯(夕方・食事時間)に行くと、別の表情の施設が見えることもあります。それでも決められない場合は、ケアマネジャー・入居相談員などの専門家の意見を聞く、家族会議でじっくり相談する選択肢があります。

Q. 良い印象だったが、月額費用が想定より高い場合はどう考えますか?

A. まず、親の経済状況(年金・預貯金)と月額費用のバランスを冷静に確認します。月額費用がオーバーしても、入居一時金プランを変える、補足給付を申請するなどで実質負担を下げられる場合があります。施設の入居相談員に「予算は月◯万円までなのですが、何か工夫の余地はありますか」と直接相談してみるのも一つの方法です。

Q. 複数施設を同日に見学するのは可能ですか?

A. 物理的には 1 日 3 件まで可能です。ただし、見学疲れで判断力が落ちることもあり、集中力が続くのは 2 件まで というご家族も多いです。3 件以上は印象が混ざりやすいので、1 件目の見学後にメモを整理する時間を設ける、最終判断は 1 日寝かせる、などの工夫をおすすめします。

Q. 見学で「ピンとこない」場合、どう断ればよいですか?

A. 見学時には「家族で相談してご連絡します」とだけ伝えれば十分です。後日、メールや電話で「他の施設と比較した結果、今回は見送らせていただきます」と簡潔に断りの連絡を入れます。理由を詳しく説明する必要はなく、「家族の希望と合わなかった」 で穏当に伝わります。施設側もこうしたやり取りに慣れています。

Q. 見学同行サービスは使うべきですか?

A. 同行サービスを使う最大のメリットは、聞きにくい質問の代行と、12 項目の客観的な評価 です。ご家族だけだと「失礼かも」と思って聞きづらい質問(夜間体制・退去要件・看取り実績など)を、社会福祉士などの専門の相談員が代理で確認できます。入居相談センターの同行は 無料(事業者が施設から紹介手数料を受け取る仕組み)のため、初めての見学では使ってみることをおすすめします。

Q. 見学後の連絡方法やお礼は必要ですか?

A. お礼の品は 基本的に不要 です。見学翌日に「本日はありがとうございました。家族で相談して、改めてご連絡いたします」とメールや電話を入れる程度で十分です。入居を決めた施設には、契約手続きの中で丁寧なやり取りを心がける だけで関係は十分に築けます。

まとめ

老人ホームの見学は、「印象を集める場」と「契約条件を詰める場」を切り分ける と効率的に進められます。

  1. 見学の目的は「家族の納得」を作ること。数値情報は重要事項説明書で詰める
  2. 見学前の準備(候補絞り込み・時間帯・予約・持ち物・役割分担)で当日の集中力が決まる
  3. 12 のチェック(玄関・受付・居室・共有・食堂・職員・入居者・やり取り・看護師・夜間・行事・苦情窓口)を 3 段階で記録
  4. 聞きにくいテーマ(夜間体制・退去要件・看取り・トラブル事例・費用)は遠慮せず確認
  5. 見学後の比較表は翌日までに作成、「ピンとこない」感覚は判断保留のサインとして尊重

ご家族だけで見学を組み立てるのが負担に感じる場合は、入居相談センターの同行サービスを利用してみてください。お気軽にご相談ください。ふれあい入居サポートセンター(葛飾相談室)では、社会福祉士などの専門の相談員が見学同行を無料で行います。ご相談・施設のご紹介は無料です。

参考文献・公的資料

  1. 厚生労働省「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」(令和6年12月6日改正、2026年5月閲覧)
  2. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」(2026年5月閲覧)
  3. 老人福祉法 第29条(有料老人ホーム)
  4. 公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」(2026年5月閲覧)
  5. ふれあい入居サポートセンター 葛飾相談室 見学同行知見

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