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コラム施設の基礎知識ご家族向け

江戸川区の老人ホーム・介護施設
— 施設数で見る、選べる幅の広さ —

親御さんの退院が決まって、急いで江戸川区の施設を調べ始めた——そんな状況の方も多いのではないでしょうか。江戸川区は、特別養護老人ホームも介護付有料老人ホームも、どちらも 23 区の上位に入る数がある区です。 そして隣の葛飾区・足立区とは、選択肢の形が逆になっています。本記事では、公的なデータをもとに区内の施設の数と種類を整理し、この区で探すときに何から手をつければよいかをまとめました。
掲載日:2026.10.01|監修:社会福祉士・入居相談員
この記事の答え

江戸川区は、荒川・隅田川ぞいの東部とその周辺 8 区のうち、ただ一つ介護付有料老人ホームなどのほうが特別養護老人ホームより多い区です。介護付有料を軸に探せる区ですが、費用の見通しは先に立てておいてください。

公的なデータで数えると、江戸川区には特別養護老人ホームが 26、介護老人保健施設が 8、介護付有料老人ホームなどの特定施設が 45、グループホームが 40 あります。特養の 26 は 23 区で 3 番目(世田谷区と同数)、特定施設の 45 は 6 番目で、どちらも上位に入ります。注目したいのは両者の関係です。荒川・隅田川ぞいの東部とその周辺にあたる 8 区(荒川・葛飾・足立・江東・台東・墨田・北・江戸川)を見ると、江戸川区以外の 7 区はいずれも特養のほうが多いのに対し、江戸川区だけが逆になっています。介護付有料老人ホームを軸に探せる区だということです。ただし介護付有料は費用の幅が大きく、前払金の有無も施設ごとに違います。候補が多いぶん、先に費用の条件を決めておかないと見学だけで時間が過ぎます。
中川 優美(社会福祉士・入居相談員)
この記事の監修者

中川 優美Yumi Nakagawa

社会福祉士。ふれあい入居サポートセンター葛飾相談室にて、入居相談を担当。江戸川区を含む 23 区東部とその周辺で、ご本人の状態と費用の見通しに合わせた住まい探しをご一緒している。
社会福祉士(国家資格)ふれあい入居サポートセンター 葛飾相談室高齢者向け住まい紹介事業者届出 25-0881
編集ポリシー:本記事の施設数は、厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のオープンデータ(2026 年 9 月取得)を集計したものです。掲載している施設の優劣や順位は扱っていません。費用・空き状況・受け入れの条件は施設ごとに大きく異なりますので、実際の内容は各施設へ直接ご確認ください。本記事内の事例はイメージで、特定の個人を表すものではありません。

江戸川区にある施設の数

まず、区内にどの種類が何か所あるのかを見てみましょう。

施設の種類江戸川区内の数23 区での順位
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)263 番目(世田谷区と同数)
介護老人保健施設(老健)8—
介護付有料老人ホームなどの特定施設456 番目
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)40—
合計119

特別養護老人ホームと介護付有料老人ホームなどの特定施設が、どちらも 23 区の上位に入るのが江戸川区の特徴です。両方とも上位 6 番以内に入っている区は、23 区の中では多くありません。

隣の葛飾区・足立区とは形が逆です

同じ公的データで 23 区すべてを数えました。下の表は、荒川・隅田川ぞいの東部と、その周辺にあたる 8 区を並べたものです。特別養護老人ホームの数が、介護付有料老人ホームなどの特定施設の数の何倍になるかを右に置いています。

区特養特定施設特養は特定施設の何倍か
荒川区741.75
葛飾区20131.54
足立区41301.37
江東区18141.29
台東区871.14
墨田区12111.09
北区13121.08
江戸川区26450.58

値が 1 より大きいほど、特養のほうが数が多いことになります。この 8 区のうち、1 を下回るのは江戸川区だけです。ほかの 7 区はいずれも特養のほうが多く、江戸川区だけが、介護付有料老人ホームなどのほうが多い形になっています。

これは探し方に直結します。葛飾区で介護付有料老人ホームを見学して回るなら母数は 13 か所ですが、江戸川区では 45 か所あります。週末ごとに 2 か所ずつ見ていっても、半年近くかかる数です。

なお、公表されているデータには各施設の定員も載っているのですが、記録されていない施設が種類によって大きく違うため(江戸川区では特養の 77 パーセント、特定施設の 33 パーセントにしか定員が入っていません)、本記事では定員どうしの比較はしていません。施設数だけが、欠けのないかたちで比べられる数字だからです。

運営しているのはどんな法人か

同じデータで法人名を見ると、種類ごとに分かれていました。

施設の種類運営している法人
特別養護老人ホーム(26)社会福祉法人 24、その他 2
介護老人保健施設(8)医療法人 8
特定施設(45)営利法人 41、その他 3、医療法人 1
グループホーム(40)営利法人 34、社会福祉法人 5、医療法人 1

特別養護老人ホームはほとんどが社会福祉法人、介護老人保健施設は 8 か所すべてが医療法人でした。制度のうえでそうなりやすい分かれ方です。

江戸川区で目立つのは、介護付有料老人ホームなどの特定施設 45 か所のうち 41 か所、グループホーム 40 か所のうち 34 か所を、株式会社などの営利法人が運営している点です。営利法人が運営する施設は料金の組み立てに自由度があり、同じ「介護付有料老人ホーム」でも費用の幅が大きくなります。前払金の有無や返金の計算式は、契約書と重要事項説明書で必ず確かめてください。読み方は別記事「重要事項説明書の読み方」にまとめています。

費用はどれくらいか

ここまでは施設の数を見てきました。次は費用です。東京都は、都内の有料老人ホームの一覧を毎月公表していて、そこには各施設が届け出た代表的な料金プランの実額が載っています。江戸川区のぶんを集計しました。

施設数月額の中央値いちばん安い〜高い前払金
介護付有料老人ホーム48227,375 円107,440 円〜300,100 円あり 29/なし 19
住宅型有料老人ホーム14150,000 円109,000 円〜226,740 円14 施設すべてなし

同じ資料で 23 区の介護付有料老人ホーム 618 施設を集計すると、月額の中央値は 252,400 円でした。江戸川区の 227,375 円は、それより 2.5 万円ほど低い水準です。候補が多いうえに中央値も 23 区の真ん中より低い、という形になっています。

住宅型の前払金についても、はっきりした傾向があります。都内の住宅型 326 施設のうち、前払金があるのは 46 施設(14 パーセント)だけで、残りは前払金なしです。一方で介護付は 873 施設のうち 557 施設(64 パーセント)に前払金があり、前払金があるところの中央値は約 910 万円でした。前払金の返金の計算式は施設ごとに違いますので、契約前に必ず確かめてください。読み方は別記事「重要事項説明書の読み方」にまとめています。都内全体の費用の分布は、別記事「有料老人ホームの費用」で1,199 施設ぶんを集計しました。

特養の申し込みは「行列」ではありません

介護付有料老人ホームが多い区とはいえ、費用を考えれば特別養護老人ホームも候補に入ります。ここでよく誤解されるのが、待ち方です。

東京都の調査によると、都内の特別養護老人ホームへの入所申込者は 20,650 人でした(令和 7 年 4 月 1 日時点)。このうち要介護 3 以上の方が 18,776 人、在宅で要介護 3 以上かつ入所の優先度が高いと判定された方が 2,888 人です。同じ資料では、都内の施設定員が 54,104 人、令和 6 年度の 1 年間に新しく入所した方が 19,394 人と示されています。

この数字の読み方には、押さえておきたい点が 3 つあります。

  1. 申し込みは着いた順ではありません。 区市町村や施設が、介護の必要の程度、ご家族の状況、居宅サービスの利用の状況などを勘案して、入所の優先度を判定します。ですから「何番目だからいつ」という見通しは立ちません
  2. 1 人で複数の施設に申し込んでいる場合は重複を除いた数です。上の 20,650 人は名寄せ済みの人数です
  3. これは東京都全体の数字です。江戸川区の待ち時間を表すものではありません。区ごと・施設ごとの内訳は公表されていません

申し込みの条件と、要介護 1・2 の方でも申し込める特例入所については、別記事「特養の入居条件|特例入所と申し込みの実際」で詳しく扱っています。

この区での探し方の順番

ここまでの数を踏まえて、江戸川区での進め方を 3 つにまとめます。

1. 先に費用の条件を決める

候補が 45 か所ある以上、条件を決めずに見始めると絞れません。決めておきたいのは、月々に出せる額と、前払金を出せるかどうかの 2 つです。ご本人の年金と預金、ご家族が足せる額を合わせて、上限を先に置いてください。費用の負担を軽くする制度もありますので、あわせて別記事「介護費用を軽くする 2 つの制度」をご覧ください。

2. 特養の申し込みも出しておく

区内に 26 か所あり、申し込み自体に費用はかかりません。複数の施設に申し込むこともできます。介護付有料老人ホームを見て回りながら、並行して出しておくのが現実的です。結果が出るまでの期間は読めませんので、待つ前提で動いてください。

3. 認知症の症状があるならグループホームも

江戸川区にはグループホームが 40 か所あります。認知症の診断があることが利用の条件で、1 か所あたりの規模は小さく、少人数で暮らす形です。入居の条件は別記事「グループホームの入居条件」に、徘徊がある場合の見方は「認知症で徘徊がある親の施設選び」にまとめました。

まだどこにも相談していない段階でしたら、まずお住まいの地域の地域包括支援センターに連絡してみるのがよいでしょう。相談の切り出し方は「ケアマネ・地域包括への最初の相談」で扱っています。

区の外も候補に入れる

江戸川区は、荒川と旧江戸川を挟んで葛飾区・江東区・墨田区と接し、川を渡れば千葉県の市川市・浦安市が近い距離にあります。

介護保険には住所地特例という決まりがあります。他の市区町村にある対象の施設へ移って住民票をそちらに移した場合でも、介護保険は移る前の市区町村が引き続き行う、という仕組みです。つまり江戸川区にお住まいの方が区外・県外の施設に移っても、介護保険の窓口は江戸川区のままになる場合があります。

ただし、対象になる施設の種類は決まっていますし、生活保護を受けている場合など手続きが変わることもあります。詳しくは別記事「入居と住民票・住所地特例」で整理しました。実際の取り扱いは、お住まいの区市町村の窓口にご確認ください。

参考までに、同じ公的データで隣接する市区も数えると、市川市には特別養護老人ホームが 21、介護付有料老人ホームなどの特定施設が 13 あります。大切なのは「区内かどうか」ではなく、ご家族が無理なく通える範囲かどうかです。

よくあるご質問

Q. 江戸川区には老人ホームがいくつありますか。

介護保険の事業所として公表されているものでは、特別養護老人ホームが 26、介護老人保健施設が 8、介護付有料老人ホームなどの特定施設が 45、グループホームが 40 で、合わせて 119 か所です。ただしこの数え方には、介護保険の事業所ではない住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅が入っていません。実際に選べる住まいは、この数より多くなります。

Q. 江戸川区は施設が多い区なのでしょうか。

多いほうです。23 区すべてを数えると、特別養護老人ホームの 26 は世田谷区と並んで 3 番目、介護付有料老人ホームなどの特定施設の 45 は 6 番目でした。ただし施設の数は、その区で介護を必要としている方の数と切り離しては読めません。数が多いことと入りやすいことは別の話です。

Q. 隣の葛飾区や足立区と、何が違うのですか。

選択肢の形が逆です。葛飾区は特養 20 に対して特定施設 13、足立区は特養 41 に対して特定施設 30 で、どちらも特養のほうが多くなっています。一方の江戸川区は特養 26 に対して特定施設 45 で、介護付有料老人ホームなどのほうが多い形です。荒川・隅田川ぞいの東部とその周辺 8 区のうち、この形は江戸川区だけです。

Q. 特別養護老人ホームは、申し込んでからどれくらい待ちますか。

待つ期間は施設ごとに大きく違い、まとまった形では公表されていません。申し込みは着いた順ではなく、介護の必要の程度やご家族の状況などを勘案して優先度が判定されます。「何番目だからいつ」という見通しは立ちませんので、待つ間の住まいを別に考えておくことが現実的です。

Q. 江戸川区の施設は、どんな法人が運営していますか。

特別養護老人ホーム 26 か所はうち 24 か所が社会福祉法人、介護老人保健施設 8 か所はすべて医療法人、特定施設 45 か所は 41 か所が株式会社などの営利法人でした。グループホーム 40 か所も 34 か所が営利法人です。介護付有料老人ホームとグループホームは、営利法人が担っている割合が高い区だと言えます。

まとめ

江戸川区の施設を、数から整理してきました。

  • 区内には特別養護老人ホーム 26、介護老人保健施設 8、介護付有料老人ホームなどの特定施設 45、グループホーム 40 があります(住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅は別にあります)
  • 特養の 26 は 23 区で 3 番目、特定施設の 45 は 6 番目で、どちらも上位です
  • 荒川・隅田川ぞいの東部とその周辺 8 区のうち、江戸川区だけが介護付有料老人ホームなどのほうが多い形になっています。隣の葛飾区・足立区とは逆です
  • 候補が多いぶん、先に費用の条件を決めてから絞るほうが早く進みます
  • 特養の申し込みは優先度で判定されるため待つ期間は読めません。並行して出しておいてください

数を知っておくと、限られた時間をどこに使うかが決めやすくなります。それでも、ご本人の状態と費用を突き合わせて絞り込む作業は、ご家族だけでは負担の大きいところです。迷われたときは、お気軽にご相談ください。ふれあい入居サポートセンターでは、社会福祉士などの専門の相談員が無料でご相談を承っています。

参考文献・公的資料

  1. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のオープンデータ(2026 年 9 月取得)。本記事の施設数は、介護老人福祉施設・介護老人保健施設・特定施設入居者生活介護・認知症対応型共同生活介護の各データから東京都江戸川区分および隣接市区分を集計したもの。23 区での順位は 23 区すべてを同じ方法で数えて求めた。なお同データの定員欄は未記入の施設が種類によって大きく異なるため、本記事では定員による比較は行っていない。
  2. 東京都「特別養護老人ホームへの入所申込等に関する調査結果」(令和 7 年 12 月 26 日公表・調査基準日 令和 7 年 4 月 1 日)。都内の入所申込者 20,650 人、うち要介護 3 以上 18,776 人、在宅・要介護 3 以上かつ優先度高 2,888 人。参考値として都内施設定員 54,104 人(令和 7 年 4 月 1 日)、令和 6 年度中の新規入所者 19,394 人。1 人で複数の施設に申し込んでいる場合は名寄せ済み。
  3. 介護保険法(平成 9 年法律第 123 号)第 13 条(住所地特例対象施設に入所又は入居中の被保険者の特例)。対象となる住所地特例対象施設は、同条第 1 項各号により介護保険施設・特定施設・老人福祉法第 20 条の 4 に規定する養護老人ホーム(第 3 号は老人福祉法第 11 条第 1 項第 1 号の入所措置がとられた者に限る)。e-Gov 法令検索で条文を確認(2026 年 9 月)。
  4. 出典:東京都福祉局「東京都内有料老人ホーム一覧」(令和 8 年 9 月 1 日現在。毎月更新)。都内 1,199 施設の届出情報から集計しました。月額は各施設が届け出た代表的な料金プランの額であり、居室のタイプ・要介護度により変わる。介護保険の自己負担は含まない。
  5. 施設数は公表データの基準時点のものです。開設・廃止により変わります。費用・空き状況・受け入れの条件は施設ごとに大きく異なりますので、各施設・区市町村の窓口にご確認ください。

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