東京都内の有料老人ホームの月額は、介護付で中央値 246,840 円、住宅型で 153,010 円です。ただし住宅型は介護の自己負担が別に乗るため、月額だけを並べて比べることはできません。

中川 優美Yumi Nakagawa
「相場」ではなく、届け出られた実額を見る
有料老人ホームの費用を調べると、「月 15 万円から 30 万円」という幅で説明されることがよくあります。間違いではないのですが、幅が広すぎて判断の材料になりません。
一方で、東京都は都内の有料老人ホームの一覧を毎月つくって公表しています。 そこには施設ごとに、類型(介護付か住宅型か)、定員、開設年月日、入居時の要件、そして代表的な料金プランの実額(入居準備費用・敷金・前払金・月額利用料)が載っています。
本記事は、その令和 8 年 9 月 1 日現在の一覧に載っている1,199 施設ぶんを集計したものです。内訳は介護付有料老人ホームが 873、住宅型有料老人ホームが 326 でした。
介護付有料老人ホームの費用
介護付有料老人ホーム 873 施設の月額利用料は、次のようになっていました。
| 金額 | |
|---|---|
| 中央値(真ん中) | 246,840 円 |
| 4 分の 1 の施設がこれ以下 | 213,644 円 |
| 4 分の 1 の施設がこれ以上 | 286,730 円 |
半数の施設が 21 万円台から 28 万円台に収まっている、という見方ができます。「15 万円から 30 万円」という幅よりは、だいぶ絞り込めます。
入居時の要件にも傾向がありました。873 施設のうち、自立の方から要介護の方まで受け入れているのが 558 施設、要支援以上が 223 施設、要介護の方に限っているのが 84 施設です。自立の段階から入れる施設のほうが多い、という形になっています。
定員は中央値で 60 人でした。10 人ほどの小さなところから 600 人を超える大きなところまであります。
住宅型の月額が低いのには理由があります
住宅型有料老人ホーム 326 施設の月額利用料は、中央値 153,010 円でした。介護付の 246,840 円と比べると、9 万円以上低く見えます。
ですから、比べるときは同じ条件で見積もりを出してもらい、見積もりどうしを比べてください。「いまの要介護度だといくらか」だけでなく、「要介護度が 1 つ 2 つ上がったらいくらになるか」も聞いておくと、見通しが立ちます。
2 つの類型の違いそのものは、別記事「サ高住と有料老人ホームの違い」で整理しています。
前払金はどうなっているか
前払金は、かからない施設も少なくありません。なお「前払金」は老人福祉法で使われている言い方で、パンフレットや契約書では「入居一時金」と書かれることもあります。同じものを指していますが、法令上の言い方は「前払金」です。
| 前払金あり | 前払金なし | |
|---|---|---|
| 介護付有料老人ホーム(873) | 557 施設(64 パーセント) | 316 施設 |
| 住宅型有料老人ホーム(326) | 46 施設(14 パーセント) | 280 施設 |
住宅型は 326 施設のうち 280 施設、およそ 86 パーセントが前払金なしでした。まとまった資金を用意しにくい場合、この違いは大きく効きます。
前払金があるところの金額は、中央値で約 910 万円でした。ただし幅は非常に大きく、数百万円のところから 1 億円を超えるところまであります。
敷金については、介護付の 19 パーセント、住宅型の 43 パーセントに設定がありました。
なお、前払金のある施設群とない施設群で介護付の月額の中央値を比べると、246,840 円と 244,740 円でほとんど変わりませんでした。ただしこれは施設どうしを比べた数字です。同じ施設の中で「前払金を払えば月々が下がる」という選択とは別の話ですので、そこは混同しないでください。一つの施設の中に複数のプランがある場合の比較は、その施設で見積もりを出してもらう必要があります。
区によって約 2 倍の開きがあります
同じ資料で、介護付有料老人ホームの月額の中央値を区ごとに出しました(施設数が 3 か所以上ある区)。
| 区 | 施設数 | 月額の中央値 | |
|---|---|---|---|
| 高いほう | 千代田区 | 3 | 393,020 円 |
| 港区 | 12 | 316,714 円 | |
| 中央区 | 5 | 311,340 円 | |
| 渋谷区 | 14 | 309,280 円 | |
| 世田谷区 | 85 | 297,630 円 | |
| (中略) | |||
| 低いほう | 板橋区 | 50 | 235,097 円 |
| 葛飾区 | 13 | 233,750 円 | |
| 江戸川区 | 48 | 227,375 円 | |
| 足立区 | 31 | 199,500 円 |
いちばん高い千代田区といちばん低い足立区では、約 2 倍の開きがあります。23 区全体の中央値は 252,400 円、多摩地域などでは 226,800 円でした。
通える範囲に複数の区が入る場合は、区をまたいで探すことで選択肢が広がります。23 区東部については、別記事「葛飾区の老人ホーム・介護施設」「足立区の老人ホーム・特養」で、区ごとの施設数と費用を整理しています。
この数字で分からないこと
ここまでの数字には、はっきりした限界があります。そこを承知したうえで使ってください。
- 「代表的な料金プラン」1 本ぶんの額です。 同じ施設でも、居室のタイプ(個室か相部屋か、広さ)によって費用は変わります
- 介護保険の自己負担は含まれていません。 要介護度によって変わりますし、住宅型ではさらに大きく変わります
- 医療費・おむつ代・理美容・日用品・レクリエーションの実費などは、別に設定されています。 何が月額に含まれるかは施設ごとに違います
- 空き状況は分かりません。 費用が合っても、いま入れるとは限りません
- 届け出の内容がいつ更新されたかは施設によります。 東京都の一覧は毎月つくられますが、最新の料金は各施設にご確認ください
費用が重くなったときに使える制度については、別記事「介護費用を軽くする 2 つの制度」と「老人ホームの費用が払えなくなったら」で扱っています。費用を抑えて探す方法は「費用を抑えて入れる老人ホームの探し方」をご覧ください。
よくあるご質問
Q. 有料老人ホームの月額はいくらくらいですか。
東京都が公表している都内 1,199 施設の届出データを集計すると、介護付有料老人ホームは月額の中央値が 246,840 円、住宅型有料老人ホームは 153,010 円でした(令和 8 年 9 月 1 日現在)。介護付は 4 分の 1 が 213,644 円以下、4 分の 1 が 286,730 円以上という散らばり方です。ただしこれは各施設が届け出た「代表的な料金プラン」の額で、居室のタイプや要介護度によって変わります。介護保険の自己負担は別にかかります。
Q. 住宅型のほうが安いということですか。
月額の数字だけを比べるとそう見えますが、その比べ方は正しくありません。介護付有料老人ホームは施設の職員から介護を受ける形です。住宅型は介護を外部の訪問介護などで個別に契約して受けますので、月額が低く見えても、介護が必要になるほど自己負担が上に乗っていきます。同じ条件で見積もりを出してもらい、見積もりどうしを比べてください。
Q. 前払金(入居一時金)は必ずかかるのですか。
かからない施設もあります。介護付有料老人ホーム 873 施設のうち前払金があるのは 557 施設(64 パーセント)で、316 施設にはありませんでした。住宅型は 326 施設のうち 46 施設(14 パーセント)だけです。前払金があるところの中央値は約 910 万円でした。一定の期間内に契約が解除された場合でも、差し引かれる額があることが前提の定めになっていますので、計算式を契約前に確かめてください。
Q. 地域によって費用は変わりますか。
はい、かなり変わります。介護付有料老人ホームの月額の中央値を区ごとに見ると、いちばん高い千代田区が 393,020 円、いちばん低い足立区が 199,500 円で、約 2 倍の開きがありました(施設数が 3 か所以上ある区で比較)。23 区全体では 252,400 円、多摩地域などでは 226,800 円です。ただし区ごとの施設数には偏りがあり、数か所しかない区の中央値は動きやすい点にご注意ください。
Q. この金額のほかに、何がかかりますか。
介護保険サービスの自己負担が別にかかります。このほか、医療費、おむつ代、理美容、日用品、レクリエーションの実費などが施設ごとに設定されています。届け出られている「月額利用料」に何が含まれ、何が含まれないかは施設によって違いますので、重要事項説明書で確かめてください。
まとめ
東京都が毎月公表している一覧から、有料老人ホームの費用を整理してきました。
- 都内 1,199 施設で、介護付の月額は中央値 246,840 円、住宅型は 153,010 円です
- 介護付は半数が 21 万円台から 28 万円台に収まっています
- 住宅型の月額が低いのは、介護の自己負担が別に乗るからです。月額だけで比べないでください
- 前払金は介護付の 64 パーセント、住宅型の 14 パーセントにあります。ないところも少なくありません
- 区ごとの中央値には約 2 倍の開きがあります
- ただしこれらは届け出られた代表的なプラン 1 本ぶんで、介護保険の自己負担は含まれていません
金額そのものより、「何年続けられるか」のほうが大切なご相談になることが多いところです。ご本人の年金と預金と突き合わせて考える作業は、ご家族だけでは負担の大きいものです。迷われたときは、お気軽にご相談ください。ふれあい入居サポートセンターでは、社会福祉士などの専門の相談員が無料でご相談を承っています。
参考文献・公的資料
- 東京都福祉局「東京都内有料老人ホーム一覧」(令和 8 年 9 月 1 日現在。毎月更新)の「開設一覧」シートを集計。対象は都内 1,199 施設(介護付 873・住宅型 326)。金額は各施設が届け出た「代表的な料金プラン」の入居準備費用・敷金・前払金・月額利用料。月額が 0 円と記載された 4 施設および入力誤りとみられる 1 施設は、月額の集計から除いた。中央値・四分位数は外れ値の影響を受けにくいため、平均ではなくこれらを用いた。
- 老人福祉法(昭和 38 年法律第 133 号)第 29 条第 10 項(一定の期間内に契約が解除された場合、前払金から厚生労働省令で定める方法により算定される額を控除した額を返還する契約の締結義務)。e-Gov 法令検索で条文を確認(2026 年 9 月)。
- 月額利用料に介護保険サービスの自己負担は含まれません。医療費・おむつ代・理美容・日用品・レクリエーションの実費などの扱いは施設ごとに異なります。
- 区ごとの中央値は施設数が 3 か所以上ある区のみを対象としています。施設数の少ない区の値は変動しやすい点にご留意ください。
- 費用・提供サービス・空き状況は施設ごとに大きく異なります。実際の契約内容・料金は各施設にご確認ください。
