ふれあい介護ナビ ロゴふれあい介護ナビ介護と施設探しの専門メディア
無料で相談する
コラム施設の基礎知識ご家族向け

夫婦で入れる老人ホーム
— 同じ部屋に入れる施設と費用の考え方を社会福祉士が整理 —

長く一緒に暮らしてきたのだから、施設に移ってからも同じ部屋で過ごしたい。——ご本人からもご家族からも、よく伺うご希望です。 結論からお伝えすると、夫婦で同じ居室に入れる施設はあります。ただし、それが認められている根拠は施設の種類によって違い、そこを知らないまま探すと候補を絞り込めません。 本記事では、同じ部屋に入れる根拠の違い、要介護度が違う夫婦の選び方、費用の考え方、そして片方が入院したり先に亡くなったときの扱いまでまとめました。
掲載日:2026.08.23|監修:社会福祉士・入居相談員
この記事の答え

夫婦で同じ居室に入れる施設はあります。ただし根拠が施設の種類で違い、介護付き有料老人ホームなどは「夫婦であること」が明文の例外理由、特別養護老人ホームはそうではありません。

介護付き有料老人ホームや介護型のサービス付き高齢者向け住宅(特定施設)では、居室の定員は一人が基本ですが、夫婦である入居者が同じ居室を希望する場合は二人にできると運営の基準に定められています。一方、特別養護老人ホームの二人部屋の例外は「サービスの提供上必要と認められる場合」であって、夫婦であることが理由として書かれているわけではありません。加えて特別養護老人ホームは原則要介護3以上が対象です。ケアハウス(軽費老人ホーム)は夫婦向けの居室面積の基準があり、一般型はどちらかが60歳以上であれば対象になります。要介護度が違う夫婦は、自立や要支援の方も受け入れる混合型のホームか、住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅が候補になります。費用は単純な2倍にはならず、介護サービスの自己負担と食費はお一人ずつ、家賃や居住費は二人部屋を一つという考え方です。そして片方が入院したときや先に亡くなったときに、残された方が二人部屋に住み続けられるかは必ず契約書で確認してください。
中川 優美(社会福祉士・入居相談員)
この記事の監修者

中川 優美Yumi Nakagawa

社会福祉士。ふれあい入居サポートセンター葛飾相談室にて、入居相談を担当。ご夫婦での入居や、お二人の状態が違う場合のご相談も含めて、サポートしている。
社会福祉士(国家資格)ふれあい入居サポートセンター 葛飾相談室高齢者向け住まい紹介事業者届出 25-0881
編集ポリシー:本記事は、指定居宅サービス等の人員、設備及び運営に関する基準(特定施設入居者生活介護)、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準、軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準に基づいて執筆しています(いずれも 2026 年 8 月に確認)。二人部屋を実際に用意しているか、その費用がいくらかは施設ごとに大きく異なります。かならず個別の施設にご確認ください。本記事内の事例はイメージで、特定の個人を表すものではありません。

まず知っておきたいこと

「夫婦一緒に」と一口に言っても、実は3つの段階があります。ここを分けておくと、探す範囲が変わります。

  1. 同じ居室に二人で住みたい(二人部屋)
  2. 同じ施設の別々の部屋でよい(隣同士、同じ階など)
  3. 近くの施設であればよい(お互いに行き来できる距離)

候補がいちばん少ないのは1です。 二人部屋を用意している施設はそれほど多くありません。逆に2まで広げると、候補は一気に増えます。

ご本人たちに希望を伺うとき、この3つを分けて聞いてみてください。「同じ部屋でなくてもいい、顔を見られればいい」という答えであれば、選べる施設はぐっと広がります。

そしてもうひとつ。お二人の状態が同じであることは、まずありません。 要介護度が違う、片方だけ医療的な処置がある、認知症の進み方が違う——この差が、施設選びでは大きく効いてきます。

同じ部屋に入れる根拠は施設ごとに違う

ここが本記事でいちばんお伝えしたい部分です。二人部屋が認められている理由は、施設の種類によって別のものです。

介護付き有料老人ホーム・介護型サービス付き高齢者向け住宅

これらは介護保険の「特定施設」にあたります。運営の基準には、次のように定められています。

一の居室の定員は、一人とする。ただし、夫婦である入居者が同一の居室の使用を希望する場合は、二人とすることができる

(指定居宅サービス等の人員、設備及び運営に関する基準 第177条第1項)

「夫婦であること」が、そのまま例外の理由として条文に書かれています。制度として夫婦の同居が想定されている、ということです。

特別養護老人ホーム

同じく居室の定員は一人が基本ですが、例外の理由が違います。

一の居室の定員は、一人とすること。ただし、入所者への指定介護福祉施設サービスの提供上必要と認められる場合は、二人とすることができる。

(指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準 第3条第1項第1号イ。ユニット型については第40条第1項第1号イ)

こちらは「サービスの提供上必要」という理由で、夫婦であることが明文の理由になっているわけではありません。二人部屋がある施設もありますが、数は限られます。

加えて、特別養護老人ホームは原則として要介護3以上が対象です。お二人ともこの条件を満たしている必要があり、そのうえで待機の状況も重なります。夫婦での入居先として特別養護老人ホームを第一候補にすると、行き詰まりやすいというのが実務での感覚です。

ケアハウス(軽費老人ホーム)

ケアハウスは、夫婦での入居が制度上はっきり想定されている施設です。居室の面積の基準に、単身の場合と夫婦の場合が別々に定められています(夫婦の場合はより広い面積が求められます)。

さらに一般型は、夫婦のどちらかが60歳以上であれば対象になります。年齢差のあるご夫婦でも候補にしやすい点です。

住宅型有料老人ホーム・一般型サービス付き高齢者向け住宅

これらは住まいの契約が土台で、介護サービスは外から組み合わせる形です。二人で住める住戸があるかは物件によりますが、お二人の状態が違っても対応しやすい傾向があります。

施設の種類そのものの違いは、別記事「サービス付き高齢者向け住宅と住宅型有料老人ホームの違い」でも整理しています。

要介護度が違う夫婦の選び方

ご夫婦での入居がうまく進まない理由の多くは、部屋ではなくお二人の状態の差にあります。

片方が自立・要支援のとき

介護付き有料老人ホームには、大きく2つのタイプがあります。

タイプ受け入れる方夫婦での適性
介護専用型要介護の方のみ片方が自立・要支援だと入れない
混合型自立・要支援の方も受け入れるこちらを探す

片方が自立または要支援であれば、混合型を探す必要があります。「介護付き有料老人ホーム」と名乗っていても中身が違いますので、問い合わせのときに「自立の方も入れますか」と確認してください。

なお、要支援の方は介護予防のサービスとして特定施設を利用できますが、自立の方は介護保険の対象外です。混合型ホームの自立向けの枠に入る形になります。

片方だけ医療的な処置があるとき

一方に胃ろうや痰の吸引などがあると、受け入れられる施設が絞られます。状態が重いほうに合わせて探すのが基本です。詳しくは別記事「胃ろう・痰の吸引がある親の入居先」をご覧ください。

片方だけ認知症が進んでいるとき

認知症の症状によっては、同じ部屋で過ごすことがかえってお互いの負担になる場合もあります。「同じ部屋」にこだわらず、同じ施設の別室という形が合うこともあります。 グループホームは相部屋ではなく個室が基本で、入居の対象も認知症のある方に限られますので、ご夫婦での入居先としては選びにくい点にご注意ください。

差が大きいときの考え方

差が大きいご夫婦ほど、「同じ部屋」を最優先にすると候補がなくなります。順序としては次のようになります。

  1. お二人それぞれに必要な介護と医療を洗い出す
  2. 状態が重いほうに対応できる施設の種類を決める
  3. そのなかで、二人部屋 → 同じ施設の別室 → 近隣、の順に広げる

費用はどう変わるか

「二人だから2倍」と思われがちですが、項目ごとに考え方が違います。

項目二人の場合の考え方
介護サービスの自己負担お一人ずつ。それぞれの要介護度と負担割合で決まる
食費お二人分
家賃・居住費二人部屋を一つ。一人部屋を二つ借りるより抑えられることがある
管理費・共益費施設により、一室あたりか一人あたりかが分かれる
入居一時金施設により、一室あたりか一人あたりかが分かれる
おむつ代などの消耗品お一人ずつ

確認しておきたいのは、管理費と入居一時金が「部屋あたり」か「一人あたり」かです。ここが二重にかかると、想定より月々の負担が大きくなります。

制度の軽減は「夫婦だと通りにくくなる」ことがある

見落とされやすい点です。介護保険の費用を軽くする制度には、配偶者の所得や資産も見るものがあります。

  • 食費・居住費の軽減(負担限度額認定) … 世帯を分けていても、配偶者の所得と資産は判定に含まれます。預貯金等の上限も、単身より夫婦のほうが高く設定されていますが、お二人分を合算して見られます
  • 自己負担の割合(1割〜3割) … 夫婦で合算した年金収入等で判定される場合があります

つまり、お一人ずつで考えたときより軽減が通りにくくなることがあります。具体的な金額と区分は、別記事「介護費用を軽くする 2 つの制度|高額介護サービス費と負担限度額認定」にまとめていますので、そちらでご確認ください。

費用を抑えたいときの考え方は、別記事「費用を抑えて入れる老人ホームの探し方」もあわせてご覧ください。

片方が入院・死亡したときの扱い

ご夫婦での入居で、いちばん見落とされやすく、いちばん影響が大きい条件がここです。

二人で入居したあと、どちらかが入院する、あるいは先に亡くなる——これは必ず起こることです。そのとき、次のことが問題になります。

  • 残された方は、二人部屋に一人で住み続けられるのか
  • 住み続けられる場合、費用はどうなるのか(二人部屋の家賃をそのまま負担するのか)
  • 一人部屋への移動を求められる場合、その費用は誰が負担するのか
  • 入居一時金を一室あたりで払っていた場合、返還はどうなるのか

これらは施設ごとに扱いが違い、契約書と重要事項説明書に書かれています。入居を決める前に、この場面をどう扱うかを書面で確認してください。口頭の「大丈夫ですよ」だけで進めないことをおすすめします。

入院中の費用と居室の扱いそのものは、別記事「入居中に入院したら費用と居室はどうなる」で施設の種類別に整理しています。契約書の読み方は「重要事項説明書の読み方|契約前に必ず確認したい 8 項目」をご覧ください。

探し方の手順

ご夫婦の場合、次の順で進めると行き詰まりにくくなります。

1. お二人それぞれの状態を書き出す

要介護度、医療的な処置、認知症の症状、服薬。お二人まとめてではなく、別々に書き出してください。

2. ご本人たちの希望を3段階で確かめる

同じ部屋がよいのか、同じ施設でよいのか、近ければよいのか。ご本人お一人ずつに伺ってください。 お二人の希望が同じとは限りませんし、ご家族が「一緒がいいはず」と決めてしまわないことが大切です。

3. 状態が重いほうに合わせて施設の種類を決める

4. 二人部屋の有無と空き状況を確認する

数が限られるため、空きが出る時期も限られます。待つ覚悟が要る場合があります。

5. 契約前に、片方が入院・死亡したときの扱いを書面で確認する

6. 見学は、できればお二人で行く

見学で見ておきたい点は、別記事「老人ホームの見学で社会福祉士が必ず見る 12 のチェック」にまとめています。

なお、待っている間の選択肢として、まず状態の重いほうだけ先に入居し、もう一方は在宅で過ごしながら空きを待つという進め方もあります。ご夫婦にとってはつらい選択に見えますが、介護しているほうが倒れてしまうより現実的なことがあります。

よくあるご質問

Q. 夫婦で同じ部屋に入れる老人ホームはありますか。

A. あります。介護付き有料老人ホームなどの特定施設では、居室の定員は一人が基本ですが、夫婦である入居者が同じ居室を使うことを希望する場合は二人とすることができる、と運営の基準に定められています。つまり夫婦であることがそのまま例外の理由になります。ただし実際に二人部屋を用意しているかは施設ごとに異なりますので、個別の確認が必要です。

Q. 特別養護老人ホームでも夫婦で同じ部屋に入れますか。

A. 制度の立て付けが違います。特別養護老人ホームも定員は一人が基本で例外はありますが、その理由は「サービスの提供上必要と認められる場合」であって、夫婦であることが明文の理由になっているわけではありません。二人部屋がある施設もありますが数は限られます。加えて原則として要介護3以上が対象ですので、お二人ともその条件を満たす必要があります。

Q. 夫婦で要介護度が違っても一緒に入れますか。

A. 施設の種類によります。介護付き有料老人ホームには、要介護の方だけの介護専用型と、自立・要支援の方も受け入れる混合型があります。片方が自立や要支援であれば混合型を選ぶ必要があります。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、住まいの契約に介護を外から組み合わせる形ですので対応しやすい傾向があります。ケアハウスの一般型は、どちらかが60歳以上であれば対象になります。

Q. 費用は一人のときの2倍になりますか。

A. 単純な2倍にはならないことが多く、項目ごとに考え方が違います。介護サービスの自己負担と食費はお一人ずつ家賃や居住費は二人部屋を一つという考え方です。確認しておきたいのは、管理費と入居一時金が「部屋あたり」か「一人あたり」かです。また、食費・居住費の軽減は配偶者の所得や資産も判定に含まれるため、お一人ずつで考えたときより通りにくくなることがあります

Q. 片方が入院したり、先に亡くなったらどうなりますか。

A. 契約書で必ず確認しておきたい点です。二人部屋に一人で住み続けられるのか、一人部屋への移動を求められるのか、そのときの費用と入居一時金の扱いはどうなるのか——施設によって扱いが異なります。入居前に、この場面をどう扱うかを書面で確認してください。ご夫婦での入居でいちばん見落とされやすく、いちばん影響の大きい条件です。

まとめ

夫婦での入居について、大切な点を振り返ります。

  1. まず希望を 「同じ部屋」「同じ施設の別室」「近隣」の3段階に分けます。候補の数がまったく変わります
  2. 介護付き有料老人ホームなどの特定施設は「夫婦であること」が明文の例外理由として定められています
  3. 特別養護老人ホームは理由づけが違い、原則要介護3以上でもあるため、第一候補にすると行き詰まりやすいです
  4. ケアハウスは夫婦での入居が制度上想定されており、一般型はどちらかが60歳以上で対象になります
  5. 片方が自立・要支援なら 混合型のホームを探します
  6. 費用は単純な2倍ではなく、管理費と入居一時金が部屋あたりか一人あたりかを確認します
  7. 食費・居住費の軽減は配偶者の所得・資産も見るため、通りにくくなることがあります
  8. 片方が入院・死亡したときの扱いを、契約前に書面で確認します

長く連れ添ったお二人の住まいを決めることですので、迷われるのは当然です。候補が見つからずお困りのときは、ご家族だけで抱え込まず、お気軽にご相談ください

参考文献・公的資料

  1. 指定居宅サービス等の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第177条第1項 — 特定施設入居者生活介護の設備(居室の定員、夫婦である入居者の例外)(厚生労働省法令等データベース、2026年8月閲覧)
  2. 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第3条第1項第1号イ、第40条第1項第1号イ — 居室の定員および床面積(厚生労働省法令等データベース、2026年8月閲覧)
  3. 軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成20年厚生労働省令第107号)— 居室面積および入所要件(単身・夫婦の別)(e-Gov 法令検索、2026年8月閲覧)

関連する特集記事