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コラム介護のはじめ方ご家族向け

ケアマネジャーに相談できることはどこまで
— 頼めること・頼めないことを社会福祉士が整理 —

担当のケアマネジャーがついたものの、「こんなことまで聞いていいのだろうか」「忙しそうで言い出しにくい」と感じている方は少なくありません。 ケアマネジャーの仕事には はっきりした守備範囲 があります。そこを知っておくと、遠慮すべき場面と、遠慮しなくてよい場面が見分けられるようになります。 本記事では、ケアマネジャーに頼めること・頼めないことを分けて整理し、伝え方のコツと、担当を替えたいときの進め方までまとめました。
掲載日:2026.09.19|監修:社会福祉士・入居相談員
この記事の答え

ケアマネジャーの中心の仕事は、ケアプランを作り、サービスを調整し、その後も定期的に見直すことです。相談に自己負担はかかりません。

ケアプランの作成とサービスの調整、要介護認定の申請の援助、サービス担当者会議の開催、主治医や病院との情報のやり取り、在宅が難しくなったときの施設の検討は、いずれも相談の範囲に入ります。居宅介護支援の費用は原則として全額が介護保険から給付されるため、ご利用者の自己負担はありません。一方で、直接の介護や家事、金銭や財産の管理、医療上の判断、施設との契約トラブルの仲裁は、ケアマネジャーの守備範囲の外です。これらは訪問介護、成年後見や日常生活自立支援事業、主治医、市区町村や消費生活センターなど、それぞれ別の窓口が担当します。伝えるときは「やってほしいこと」ではなく「困っていること」を具体的に話すと、使える手立てが見つかりやすくなります。
中川 優美(社会福祉士・入居相談員)
この記事の監修者

中川 優美Yumi Nakagawa

社会福祉士。ふれあい入居サポートセンター葛飾相談室にて、入居相談を担当。ケアマネジャーと連携しながら、在宅から施設への切り替えを検討するご家族をサポートしている。
社会福祉士(国家資格)ふれあい入居サポートセンター 葛飾相談室高齢者向け住まい紹介事業者届出 25-0881
編集ポリシー:本記事は、介護保険法および指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準に定められた居宅介護支援の業務内容をもとに、当センターの相談実務を加えて執筆しています(2026 年 8 月に確認)。事業所ごとの体制や対応できる範囲には差があります。個別の対応可否は、担当のケアマネジャーまたは所属する居宅介護支援事業所にご確認ください。本記事内の事例はイメージで、特定の個人を表すものではありません。

まず知っておきたいこと

ケアマネジャー(正式には介護支援専門員)は、介護保険のサービスを使う方と、サービスを提供する事業者との間をつなぐ専門職です。

最初にお伝えしておきたいことが2つあります。

1つめは、相談に自己負担がかからないことです。 居宅介護支援(ケアマネジャーがケアプランを作り、サービスを調整する仕事)の費用は、原則として全額が介護保険から給付されます。他の介護サービスのような1割〜3割の自己負担がありません。「相談すると料金がかかるのでは」という心配は不要です。なお、介護保険料の滞納が続いて給付の制限を受けている場合など、例外的に扱いが変わることがあります。心当たりがあるときは市区町村の介護保険担当課にご確認ください。

2つめは、ケアマネジャーには守備範囲があることです。 何でも屋ではありません。範囲の外にあることを頼んでも動けませんし、逆に範囲の中にあることを遠慮して伝えずにいると、使えるはずのサービスが使われないままになります。

つまり、遠慮すべきなのは「頼み方」ではなく「頼む相手」です。範囲を知っておけば、適切な相手に届けられます。

ケアマネジャーに頼めること

ケアマネジャーの中心の仕事は、次のような流れになっています。

場面ケアマネジャーがすること
相談を受ける状況を聞き取り、困りごとを整理する
状況を把握する心身の状態、住まいの環境、ご家族の状況などを確かめる(アセスメント)
ケアプランを作る使うサービスの種類・回数・事業者を組み立てた計画を作る
事業者と調整する訪問介護・デイサービス・福祉用具などの事業者と連絡を取り、手配する
会議を開くサービス担当者会議を開き、関係者と方針をそろえる
見守り続ける定期的に訪問して様子を確認し、必要に応じて計画を見直す

これに加えて、次のようなことも相談の範囲に入ります。

  • 要介護認定の申請や更新の援助(申請を代わりに行ってもらうこともできます)
  • 主治医や病院との情報のやり取り(入院したとき、退院するときの調整を含みます)
  • 福祉用具や住宅改修の検討(手すり、ベッド、段差の解消など)
  • 在宅での生活が難しくなってきたときの、施設を含めた選択肢の整理
  • 介護をするご家族自身の負担についての相談(ショートステイの活用など)

「これは介護保険のことだろうか」と迷う内容でも、まず話してみて構いません。範囲の外であれば、どこに相談すればよいかを案内してもらえます。その案内自体が、ケアマネジャーの仕事のうちです。

ケアマネジャーや地域包括支援センターへの最初の相談の進め方は、別記事「ケアマネジャー・地域包括支援センターへの最初の相談」でお伝えしています。

ケアマネジャーの守備範囲の外にあること

次のことは、ケアマネジャーの役割には含まれていません。頼んでも動けない、という意味ではなく、それぞれ別の担当者がいるということです。

内容ケアマネジャーの扱い実際の担当
掃除・洗濯・買い物・調理自身では行わない訪問介護(ホームヘルプ)などのサービス
入浴や排せつの介助、通院の付き添い自身では行わない訪問介護、通所介護などのサービス
預貯金の出し入れ、支払いの代行、財産の管理行わない成年後見制度、日常生活自立支援事業、ご家族
診断、薬の判断、治療方針行わない主治医・かかりつけ医
施設への指導、事業者の処分行わない市区町村・都道府県の担当課
施設との契約トラブル、賠償の仲裁行わない消費生活センター、法テラス、弁護士
入居契約そのものの締結行わないご本人(または適切な代理権を持つ方)と施設

とくに間違えられやすいのが、金銭の管理と契約トラブルの仲裁です。

金銭の管理は、ご本人の財産に直接手をつける行為ですので、判断が難しくなってきた場合には成年後見制度や、社会福祉協議会が行う日常生活自立支援事業といった、法律や制度に裏づけられた仕組みを使うことになります(別記事「成年後見制度と入居契約」)。

契約や賠償をめぐる争いも、ケアマネジャーが判定する立場にはありません。施設への苦情の伝え方と外部の窓口の使い分けは、別記事「施設への不満・苦情の伝え方と相談先」で整理しています。

伝え方のコツ

同じ内容でも、伝え方によって話の進み方が変わります。次の4つを意識してみてください。

1. 「やってほしいこと」ではなく「困っていること」を話す

「週2回、掃除に来てほしい」と伝えると、ケアマネジャー自身は掃除をしませんので、そこで話が止まってしまいます。「ゴミが出せず部屋が片づかない」「本人が転びそうで台所に立たせられない」と困りごとで伝えると、訪問介護や配食など、使える手立てを組み立てる話に変わります。

2. 事実と希望を分けて伝える

「最近、夜中に起きてくる回数が増えた」(事実)と、「できればもう少し家で見たい」(希望)を分けて伝えると、ケアマネジャーは判断材料を整理しやすくなります。

3. ご本人の希望と、ご家族の希望を分けて伝える

「本人はまだ家にいたいと話しています」「家族としては安全面が心配です」というように、それぞれ分けて伝えてください。ご本人の意思は、ケアプランの土台になるものです。ケアプランは原則としてご本人の同意を得て確定するもので、ご家族の署名がご本人の同意の代わりになるわけではありません。

4. 記録を残す

体調の変化、困った出来事、話し合ったことを、簡単なメモで構いませんので残しておくと、月々の訪問のときに伝えやすくなります。

連絡してよい時間と、急ぐときの連絡先

ケアマネジャーは複数の方を担当しています。担当できる人数には運営上の目安が設けられていますが、それでも常に手が空いているわけではありません。

連絡できる時間帯や、営業時間外の連絡方法は、契約のときに受け取った重要事項説明書に書かれています。手元で確認しておくと安心です。

急ぐときは、連絡先の順序を間違えないでください。

  • 意識がない、呼吸がおかしい、強い痛み、頭を打ったなど、命に関わる可能性があるとき → 迷わず救急(119)
  • 急な体調の変化、発熱、ふだんと違う様子が続くとき → 主治医・かかりつけ医、または訪問看護
  • 虐待が疑われるとき、身の危険があるとき → 市区町村の高齢者虐待の窓口、または警察(110)
  • サービスの調整、今後の進め方、制度のこと → ケアマネジャー

急な変化を「認知症が進んだ」と受け止めてしまうことがありますが、せん妄、脳の病気、感染症、薬の影響など、医療で対応できる原因が隠れていることもあります。ふだんと違う様子が急に現れたときは、まず医療につないでください。

担当を替えたいとき

相性が合わない、連絡がつきにくい、希望を聞いてもらえないと感じるときは、担当を替えることができます。

  • 同じ事業所の中で担当を替えてもらう … 事業所の管理者に相談します
  • 事業所そのものを替える … 新しい居宅介護支援事業所を決めてから、これまでの事業所に連絡します

替えたい理由を細かく説明しなくても構いません。 言い出しにくいときは、地域包括支援センターに相談し、間に入ってもらう方法もあります。地域包括支援センターは、相談先の整理と案内を担う窓口です。事業所への指導や処分を行う立場ではありませんので、そこは市区町村の介護保険担当課が担当します。

替えたあとも、これまでのケアプランやサービスがいったん白紙になるわけではありません。引き継ぎのうえで続けられます。

よくあるご質問

Q. ケアマネジャーへの相談にお金はかかりますか。

A. 居宅介護支援の費用は、原則として 全額が介護保険から給付され、ご利用者の自己負担はありません。相談したから追加で請求される、という性質のものではありませんので、気になることは遠慮せずお伝えください。

Q. ケアマネジャーはどこまでやってくれるのですか。

A. 中心となるのは、状況を把握して ケアプランを作り、サービス事業者と調整し、その後も定期的に見直す ことです。要介護認定の申請の援助、サービス担当者会議の開催、主治医や病院との情報のやり取り、在宅が難しくなったときの施設の検討も相談の範囲に入ります。一方で、直接の介護や家事、金銭の管理、医療上の判断、契約トラブルの仲裁は守備範囲の外です。

Q. 掃除や買い物を頼んでもよいですか。

A. ケアマネジャー自身が家事や介護を行うことは、その役割に含まれていません。ただし、掃除や買い物が難しい状況をお伝えいただければ、訪問介護などのサービスを組み立てて対応する道を一緒に考えられます。「やってほしいこと」ではなく「困っていること」を伝えるのがコツです。

Q. 施設への入居も相談してよいのでしょうか。

A. 相談して構いません。在宅での生活が難しくなってきたときに、どの時期にどう切り替えるかを一緒に考えるのもケアマネジャーの役割のひとつです。ただし、地域の施設にどれだけ詳しいかは人によって差があります。候補を幅広く比べたいときは、入居相談の窓口を併せて使う方法もあります。

Q. 担当のケアマネジャーを変えたいときはどうすればよいですか。

A. 担当を替えることも、事業所ごと替えることもできます。まずは所属している 居宅介護支援事業所の管理者 に相談してください。事業所を替えるときは、新しい事業所を決めてから、これまでの事業所に連絡します。理由を細かく説明する義務はありません。 言い出しにくいときは、地域包括支援センターに間に入ってもらえます。

Q. 夜間や休日にも連絡してよいですか。

A. 急を要する体調の変化のときは、ケアマネジャーではなく 医療につないでください。命に関わる状況では 救急(119) が最優先です。連絡できる時間帯や緊急時の連絡方法は事業所ごとに決められていますので、契約のときに受け取った重要事項説明書で確認しておくと安心です。

まとめ

ケアマネジャーへの相談について、大切な点を振り返ります。

  1. 相談に自己負担はかかりません。居宅介護支援の費用は原則として全額が介護保険から給付されます
  2. ケアプランの作成・サービスの調整・認定の申請の援助・施設の検討は、いずれも相談の範囲です
  3. 家事や介護、金銭の管理、医療の判断、契約トラブルの仲裁は守備範囲の外で、それぞれ別の担当がいます
  4. 伝えるときは「やってほしいこと」ではなく 「困っていること」 を具体的に話します
  5. ご本人の希望とご家族の希望は分けて伝えます。ケアプランは、内容の説明を受けたうえで文書によるご本人の同意を得て確定します
  6. 急な体調の変化は 医療へ。命に関わるときは救急(119)が最優先です
  7. 担当は替えられます。理由を細かく説明しなくても構いません

「こんなことを聞いてよいのだろうか」と迷ったときは、迷ったこと自体を伝えてみてください。範囲の外であれば、どこに相談すればよいかを案内してもらえます。施設の検討まで話が及んだときは、ご家族だけで抱え込まず、お気軽にご相談ください。

参考文献・公的資料

  1. 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条(指定居宅介護支援の具体的取扱方針)ほか(e-Gov 法令検索、2026年8月閲覧)
  2. 介護保険法(平成9年法律第123号)— 介護支援専門員の定義、要介護認定の申請に関する手続の代行(e-Gov 法令検索、2026年8月閲覧)
  3. 介護保険法(平成9年法律第123号)第46条(居宅介護サービス計画費の支給)。同条第2項は給付の額に割合の定めを置いておらず、居宅サービス費について「百分の九十」と定める第41条第4項と対照的である(e-Gov 法令API の原文で確認、2026年9月16日)

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