在宅から施設へ移ると、ケアプランは「居宅サービス計画」から「施設サービス計画」へ切り替わり、担当のケアマネジャーも交代します。引き継ぎがうまくいくと、入居後の生活が落ち着きやすくなります。

中川 優美Yumi Nakagawa
切り替えの全体像
在宅から施設へ移るときは、ケアプランと担当のケアマネジャーが切り替わります。まず全体像をつかんでおくと、いま何が起きているのかが分かり、落ち着いて準備できます。
| 在宅のとき | 施設に入ったあと | |
|---|---|---|
| ケアプラン | 居宅サービス計画 | 施設サービス計画 |
| 作る人 | 居宅介護支援事業所のケアマネジャー | 施設に所属するケアマネジャー |
| 使うサービス | 訪問介護・デイサービスなど(外部の事業者) | 施設の中で提供される介護 |
つまり、入居をきっかけに「計画」も「担当者」も新しくなります。これまでの暮らしや希望が途切れないよう、橋渡しをするのが引き継ぎです。引き継ぎがていねいに行われると、入居後の生活が落ち着きやすくなります。
2 つのケアプランの違い
ケアプランとは、本人がどんな暮らしを送りたいかをもとに、必要な介護サービスをまとめた計画のことです。正式には介護サービス計画といいます。在宅と施設では、同じケアプランでも種類が異なります。
- 居宅サービス計画 在宅で暮らす方のための計画です。訪問介護やデイサービスなど、外部の事業者のサービスを組み合わせて作ります。居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当します
- 施設サービス計画 施設で暮らす方のための計画です。施設の中で提供される介護を中心に作ります。施設に所属するケアマネジャーが担当します
在宅では複数の事業者のサービスを組み合わせるのに対し、施設では施設の中で介護が完結するという違いがあります。このため、入居にあたっては計画を一から作り直すことになります。なお、ケアプランの作成に利用者の費用負担はありません。
見直しのタイミング
ケアプランは一度作って終わりではなく、状態の変化に合わせて見直されます。施設への入居を考え始めるのも、見直しの大切なきっかけのひとつです。
ケアプランが見直される主なタイミングは、次のとおりです。
- 本人の状態が大きく変わったとき(在宅での生活が難しくなってきたときを含みます)
- 要介護認定の更新があったとき
- 要介護度の区分が変わったとき
- 毎月の見守り(モニタリング)で新しい課題が見つかったとき
在宅での生活に限界を感じ始めたら、それは施設入居も含めて暮らし方を見直すサインかもしれません。担当のケアマネジャーに早めに相談しておくと、施設入居という選択肢も含めて、一緒に考えてもらえます。「在宅を続けるべきか、施設を考えるべきか」で迷うのは自然なことです。ひとりで結論を出そうとせず、専門家と整理していきましょう。
施設への引き継ぎの流れ
在宅から施設への引き継ぎは、おおむね次のように進みます。だれが動くのかを知っておくと、ご家族として何を準備すればよいかが見えてきます。
- 施設入居の方針を、担当のケアマネジャーと共有します 入居を考え始めたら、まず担当のケアマネジャーに伝えます。本人の状態を日頃から知っている立場から、引き継ぎの準備を進めてもらえます
- これまでの情報が整理されます 担当のケアマネジャーが、これまでの経過やアセスメント(生活や心身の状態の把握)の情報、主治医からの意見などをまとめます
- 施設へ情報が引き継がれます 入居先が決まると、これまでの情報が施設へ伝えられます。入居前の面談に、担当のケアマネジャーが情報を提供することもあります
- 在宅サービスの切り替えを調整します 訪問介護やデイサービスなど、在宅で使っていたサービスの停止を、入居日に合わせて調整します
- 入居後、施設で新しい計画が作られます 入居後は、施設のケアマネジャーが本人や家族の希望をうかがい、施設サービス計画を作ります
入院中から施設へ移る場合は、在宅の担当ケアマネジャーがいないこともあります。その場合は、病院の相談窓口(医療ソーシャルワーカー)が同じ役割を担い、施設へ情報を引き継ぎます。
伝えておきたい情報
引き継ぎでは、担当のケアマネジャーが専門的な情報を整理してくれますが、ご家族だからこそ伝えられることもあります。本人の人柄や暮らしぶりが施設に伝わると、入居後の支援がより具体的になります。
施設に伝えておくとよいのは、たとえば次のようなことです。
- 本人の希望(どんなふうに過ごしたいか)
- 一日の生活のリズム(起きる時間、食事、入浴など)
- 好きなこと・苦手なこと、大切にしている習慣
- これまでの病気や服薬の経過(お薬手帳が役立ちます)
- 認知症がある場合は、落ち着く声かけや、戸惑いやすい場面
- 家族の連絡先と、緊急時の連絡の順番
こうした情報は、簡単なメモにまとめて施設や担当のケアマネジャーに渡しておくと、口頭だけよりも正確に伝わります。すべてを完璧にそろえる必要はありません。分かる範囲で大丈夫です。
入居後のケアプラン
入居後は、施設のケアマネジャーが施設サービス計画を作り、それに沿って介護が行われます。この計画も、在宅のときと同じように見直されます。
入居してしばらくは、新しい環境に本人がなじめているか、ご家族も気になる時期です。「思っていた暮らしと違う」「もう少しこうしてほしい」と感じることがあれば、遠慮なく施設のケアマネジャーや相談員に伝えてみてください。ケアプランは、本人の状態や希望に合わせて見直すことができます。定期的な見直しのほかに、必要に応じて随時の見直しもできますので、気づいたタイミングで相談して大丈夫です。
入居までの全体の流れは、別記事「老人ホーム入居までの流れと必要書類」でまとめています。あわせてご覧ください。
よくあるご質問
Q. 施設に入ると、在宅のケアプランはどうなりますか。
A. 在宅で使っていた居宅サービス計画(在宅のケアプラン)は、施設入居にともなって終わり、入居後は施設のケアマネジャーが施設サービス計画を新しく作ります。これまでの経過や本人の希望は、在宅の担当ケアマネジャーから施設へ引き継がれるのが一般的です。
Q. 担当のケアマネジャーは施設でも続けて見てくれますか。
A. 在宅を担当していた居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、施設入居にともない担当から外れるのが一般的です。入居後は施設に所属するケアマネジャーが担当します。引き継ぎの段階で、これまでの担当者から施設へ情報が伝えられます。
Q. 施設に伝えておくとよい情報は何ですか。
A. 本人の希望や生活のリズム、好きなこと・苦手なこと、これまでの病気や服薬の経過、家族の連絡先などを伝えておくと、入居後の生活が落ち着きやすくなります。担当のケアマネジャーがこれらを整理して施設へ引き継ぎますが、ご家族からも本人の人柄や暮らしぶりを伝えていただけると、より具体的な支援につながります。
Q. 入居後にケアプランが合わないと感じたら、変えられますか。
A. はい、見直せます。施設のケアプランも、本人の状態の変化や、ご家族・本人の希望に応じて見直されます。気になることがあれば、施設のケアマネジャーや相談員に伝えてみてください。定期的な見直しのほかに、必要に応じて随時の見直しもできます。
Q. 在宅サービスの解約は誰がやりますか。
A. 在宅で使っていた訪問介護やデイサービスなどの停止・解約の調整は、在宅の担当ケアマネジャーが中心になって進めるのが一般的です。入居日に合わせてサービスを切り替えられるよう、入居が決まったら早めにケアマネジャーへ伝えておくとスムーズです。
まとめ
在宅から施設への切り替えは、引き継ぎのしくみが分かれば、落ち着いて進められます。最後に要点を整理します。
- 入居にともない、ケアプランは居宅サービス計画から施設サービス計画へ切り替わります
- 担当のケアマネジャーも、在宅の事業所から施設へと交代します
- これまでの経過や希望は、担当のケアマネジャーが施設へ引き継ぎます
- ご家族からも、本人の人柄や暮らしぶりを伝えると、より具体的な支援につながります
- 入居後のケアプランも、状態や希望に合わせて見直せます
引き継ぎは、これまでの暮らしを次の場所へつなぐ大切なひと手間です。ご家族だけで抱え込まず、ケアマネジャーや相談員と一緒に進めていけます。お気軽にご相談ください。
参考文献・公的資料
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」(2026年6月閲覧)
- 厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」関連告示・通知(2026年6月閲覧)
- 引き継ぎの具体的な進め方は、居宅介護支援事業所・施設によって異なります。詳しくは担当のケアマネジャー・施設にご確認ください。
