入居後も親御さんにはケアプランがあり、家族が関われます。その内容を検討するサービス担当者会議には、家族も参加できます。

中川 優美Yumi Nakagawa
まず知っておきたいこと
施設に入居すると、「介護のことは、もう施設にお任せするしかない」と感じる方は少なくありません。ですが、入居後も親御さんには一人ひとりのケアプラン(介護の計画)があり、家族がその内容に関わることができます。まずはそのことを知っておいていただければと思います。
入居後のケアに家族が関わる、いちばん分かりやすい入口が サービス担当者会議 です。この会議は、次のような役割を持っています。
- 親御さんに合ったケアプランを、みんなで検討して決めます
- 本人・家族・施設の担当者が、同じ方向を向いてケアを進めます
- 家族の希望や気づきを、日々のケアに反映してもらう機会になります
「お任せ」ではなく「一緒に考える」姿勢で関わることで、親御さんの暮らしはより本人らしいものに近づいていきます。難しく考える必要はありませんので、気軽に関わっていきましょう。
サービス担当者会議とは
サービス担当者会議は、ケアマネジャー(正式には介護支援専門員)が主催し、ケアプランを検討・共有するための話し合いの場です。ケアプランを新しく作るときや、内容を大きく見直すときに開かれます。
会議には、次のような人が集まります。
- 親御さん本人
- 家族
- ケアプランを作るケアマネジャー
- 介護や看護の担当者(施設の職員、訪問看護の看護師など)
- 必要に応じて、主治医やリハビリの担当者など
この場で、親御さんの体の状態や暮らしの希望をもとに、「どんなケアをしていくか」を確かめ合います。専門職だけで決めるのではなく、本人と家族の意向を踏まえて計画を作ることが基本になっています。
施設に入るとケアプランは誰が作るのか
施設に入ると、ケアプランを作る人は施設のタイプによって変わります。ここは少し分かりにくいところなので、整理しておきます。
| 施設のタイプ | ケアプランを作る人 | 計画の呼び方 |
|---|---|---|
| 特養・老健・介護医療院 | 施設のケアマネジャー(計画を担当する職員) | 施設サービス計画 |
| 介護付き有料老人ホーム | 施設のケアマネジャー | 特定施設のサービス計画 |
| 住宅型有料老人ホーム・サ高住(外付けサービス利用) | 外部の居宅ケアマネジャー | 居宅サービス計画 |
特養や介護付き有料老人ホームなどでは、施設のなかのケアマネジャーが計画を作ります。一方、住宅型有料老人ホームやサ高住で、訪問介護などの介護サービスを外から利用する場合は、外部の居宅ケアマネジャーが計画を作ります。
どのタイプでも共通しているのは、本人と家族の意向を踏まえて計画が作られるという点です。誰が担当するのか分からないときは、施設の生活相談員に「うちの親のケアプランは、どなたが担当ですか」と聞いてみてください。
家族が会議でできること
会議に参加するとき、「専門的なことは分からないから」と身構える必要はありません。家族にしか伝えられない、大切な情報があります。
伝えるとよいのは、たとえば次のようなことです。
- 親御さんの 希望や困っていること(本人が言葉にしにくいことを代わりに)
- これまでの 生活の様子や好きなこと(食べ物、趣味、大切にしてきた習慣)
- 家族として 気になっている点(最近元気がない、この動作がつらそう など)
- ケアの方針で お願いしたいこと(歩く力を保ってほしい、食事を楽しんでほしい など)
「食事をもっと楽しんでほしい」「できるだけ自分で歩けるようにしてほしい」といった素朴な願いも、ケアプランを考えるうえで大切な材料になります。専門用語で話す必要はありませんので、ふだんの言葉で伝えてください。
あわせて、会議はケアプランの内容を確かめる場でもあります。分からないことがあれば、その場で質問して構いません。納得したうえでケアが進むことが、親御さんにとっても家族にとっても安心につながります。
参加できないときの関わり方
仕事や遠方に住んでいるなどの事情で、会議に参加できないこともあります。そのときも、関わり方はあります。
- あらかじめ、ケアマネジャーに 希望や気になる点を電話や書面で伝えておきます
- 会議は、参加が難しい場合に 書面で意見を求める形 で進められることもあります
- 会議のあとで、内容やケアプランの説明を受ける ことができます
参加できないからといって、家族の意向が届かないわけではありません。事前に伝えておけば、会議の場で共有してもらえます。遠慮せず、「参加は難しいけれど、こう考えている」とケアマネジャーに伝えておきましょう。遠距離での関わり方は、別記事「遠距離・疎遠の家族による施設探し」も参考になります。
ケアプランの見直しのタイミング
ケアプランは、一度作ったら終わりではありません。親御さんの状態や暮らしに合わせて、見直されていきます。
見直されるのは、主に次のようなときです。
- 親御さんの 体調や要介護度が変わった とき
- できることや、困りごとに 変化があった とき
- 定期的な確認(モニタリング)のなかで、計画の見直しが必要と判断されたとき
ケアマネジャーは、暮らしの様子を定期的に確認しています。家族の側から「最近こういう様子が気になる」と感じたときも、ケアマネジャーに見直しを相談できます。状態が変わってきたと感じたら、遠慮なく声をかけてみてください。容体が大きく変わり、住み替えも視野に入るときは、別記事「入居後に容体が変わったら」もあわせてご覧ください。
よくあるご質問
Q. サービス担当者会議には家族も参加できますか。
A. はい、参加できます。サービス担当者会議は、ケアマネジャーが主催し、本人・家族・介護や看護の担当者が集まって、ケアプランの内容を検討・共有する場です。家族は、親御さんの希望やこれまでの暮らしぶり、気になっていることを伝える 大切な役割 を担います。日程が合わないときは、あらかじめ相談してみてください。
Q. 施設に入ったあと、ケアプランは誰が作るのですか。
A. 特養や介護付き有料老人ホームなどでは、施設のケアマネジャー(計画を担当する介護支援専門員)がその方のケアプランを作ります。住宅型有料老人ホームやサ高住で外付けの介護サービスを使う場合は、外部の居宅ケアマネジャーが作ります。いずれの場合も、本人と家族の意向を踏まえて 作られ、家族が意見を伝えることができます。
Q. 会議で何を伝えればよいですか。
A. 親御さんの希望や困っていること、これまでの生活の様子や好きなこと、家族として気になっている点を伝えるとよいでしょう。専門的な言葉で話す必要はありません。「食事をもっと楽しんでほしい」「歩く力を保ってほしい」といった 素朴な願い も、ケアプランを考えるうえで大切な材料になります。
Q. 仕事などで会議に参加できないときはどうすればよいですか。
A. 参加が難しいときは、あらかじめケアマネジャーに希望や気になる点を電話や書面で伝えておく方法があります。会議は、参加が難しい場合に 書面で意見を求める形 で進められることもあります。あとから会議の内容やケアプランの説明を受けることもできますので、遠慮なくお願いしてみてください。
Q. ケアプランはどのくらいの頻度で見直されますか。
A. ケアプランは、親御さんの状態が変わったときや、定期的な確認のなかで見直されます。ケアマネジャーは、暮らしの様子を定期的に確認(モニタリング)しており、必要に応じて計画を作り直します。体調や気持ちに変化を感じたときは、家族からケアマネジャーに見直しを相談することもできます。
まとめ
サービス担当者会議と家族の関わり方について、大切な点を振り返ります。
- 入居後も親御さんには ケアプランがあり、家族が関われます
- サービス担当者会議は、ケアマネジャーが主催する ケアプランを検討・共有する場 で、家族も参加できます
- ケアプランを作る人は施設のタイプで変わりますが、本人と家族の意向を踏まえて 作られます
- 会議では、親御さんの希望や暮らしぶり、気になる点を ふだんの言葉で伝えれば十分 です
- 参加できないときは書面や電話で意向を伝えられ、ケアプランは状態に合わせて見直されます
「施設にお任せ」ではなく、「一緒に考える」姿勢で関わることで、親御さんの暮らしはより本人らしいものになっていきます。施設との関わり方に迷ったときは、お気軽にご相談ください。
参考文献・公的資料
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)— サービス担当者会議・モニタリングに関する定め(e-Gov 法令検索、2026年7月閲覧)
- 厚生労働省・WAM NET「ケアマネジメント」「施設サービス計画・居宅サービス計画」(2026年7月閲覧)
- 会議の開催方法・頻度は施設・サービスの種類により異なります。実際の進め方は担当のケアマネジャーにご確認ください。
