ふれあい介護ナビ ロゴふれあい介護ナビ介護と施設探しの専門メディア
無料で相談する
コラム介護のはじめ方ご家族向け

兄弟姉妹で介護分担を決める
— こじれない話し合いの進め方を社会福祉士が解説 —

親の介護が突然始まり、兄弟姉妹と話し合いの場を持つことになった。「平等に分担しよう」と思っているけれど、現実には誰かが多くを担うことになりそうだ。経済負担はどうするか、親への接し方はどう揃えるか、決まらないまま時間だけが過ぎていく——。 介護分担の話し合いで「揉めない家族」はほとんどいらっしゃいません。これまでお会いしてきたご家族の歩みを思い返しても、感じることです。多くは、最初の数回の話し合いで気持ちのすれ違いが起き、そこから立て直しに時間がかかります。逆に言うと、話し合いの組み立て方を少し意識するだけで、こじれを和らげることはできます。 この記事では、兄弟姉妹で介護分担を決めるときに「揉めにくくするコツ」を、社会福祉士の視点で整理してお伝えします。「公平に分ける」のではなく「役割で分ける」発想、話し合いの順番、第三者の入れ方まで、ひととおりカバーしています。
掲載日:2026.05.19|監修:社会福祉士・入居相談員
この記事の要点

兄弟姉妹の介護分担は、「公平に分ける」のではなく「役割で分ける」発想で組み立てると、こじれにくくなります。

話し合いには順番があり、いきなりお金の話から始めると揉めやすいため、まずは情報共有 → 役割の整理 → 経済負担 → 最終決定者の順で進めるのが穏当です。話し合いがこじれた場合は、地域包括支援センターの社会福祉士など第三者を入れる選択肢があります。本記事では、社会福祉士が日々ご家族と一緒に整理している分担の組み立て方をお伝えします。
中川 優美(社会福祉士・入居相談員)
この記事の監修者

中川 優美Yumi Nakagawa

社会福祉士。ふれあい入居サポートセンター葛飾相談室にて、入居相談を担当。兄弟姉妹間で介護方針が割れているご家族の話し合いに、地域包括支援センターと連携して同席することも多い。
社会福祉士(国家資格)ふれあい入居サポートセンター 葛飾相談室高齢者向け住まい紹介事業者届出 25-0881
編集ポリシー:本記事は、地域包括支援センターの業務については厚生労働省「地域包括支援センターについて」および介護保険法 第 115 条の 46、扶養義務については民法 第 877 条、成年後見制度については厚生労働省「成年後見制度の現状」と法務省「成年後見制度・成年後見登記制度」に基づいて執筆しています。本記事内の事例はイメージで、特定の個人を表すものではありません。

なぜ兄弟姉妹で介護分担が揉めやすいのか

「うちの兄弟は仲が良いから大丈夫」と話していらっしゃったご家族でも、親の介護の話し合いになると意見が割れることはよくあります。理由は人格や仲の良さではなく、構造的に揉めやすい要素 が 3 つ重なるからです。

構造的な 3 つの理由

不均衡が生まれる軸内容
地理的距離親の家の近くに住む人と遠方の人で、介護にかけられる時間が大きく違う。週末の帰省でも、片道 1 時間と片道 6 時間では負担感が桁違いです
経済的余裕仕事の状況・住宅ローン・子どもの教育費の段階で、出せる金額が違う。「同じ金額」を出すことが「公平」かどうかは、各家庭の家計状況で変わります
親との関係の近さ普段の電話頻度・親への気軽さ・親が誰を頼りにしてきたか、によって「親に何かあったときに最初に動くのは誰か」が決まりがちです

これら 3 つは、ご家族の努力で簡単に揃えられるものではありません。仕事を辞めて親の近くに引っ越す、という大きな決断をしない限り、距離も経済力も親との近さも、現状から動かしにくい要素です。

「公平に分ける」のリスク

兄弟姉妹で話し合うとき、「平等に分けよう」「公平に負担しよう」という言葉が出やすいのですが、現実には 平等な分担はほぼ不可能 です。3 つの軸で違いがある以上、無理に均等にしようとすると、誰かが我慢する形でしか成立しません。

そして、我慢している側は時間が経つにつれて不満を溜め、ある日「私ばかり負担している」と爆発します。これが多くのご家族で繰り返されてきたパターンです。

揉めにくくする話し合いの組み立て方

兄弟姉妹で話し合いを持つときは、話し合う順番 が大事です。多くのご家族が陥りがちなのが、「お金の話を最初にする」「結論を急ぐ」というパターンです。

順番の組み立て

段階やることなぜこの順番か
1. 情報共有親の状態・病院から言われたこと・介護保険の手続きの進捗を共有同じ前提に立たないと、判断軸がそろわない
2. 課題整理これから何を決める必要があるか、選択肢の幅を一緒に把握「決めるべきこと」を見える化する
3. 役割分担「誰が何を担当するか」を 5 つの観点で分けて議論役割の話は事実ベースで議論しやすい
4. 経済負担親本人の経済状況をふまえたうえで、家族の負担分を相談役割が決まってから話したほうが、不公平感が出にくい
5. 最終決定者重大局面(手術同意・施設入居判断など)で誰が決めるかを決めるこれが決まっていないと、いざというときに迷走する

「情報共有」と「課題整理」がしっかりできていれば、その後の役割分担・経済負担の話し合いはかなりスムーズに進みます。逆に、最初の 2 段階を飛ばして「役割分担しよう」と切り出すと、各人が持っている情報のズレから議論が紛糾します。

お金の話を最初にすると揉めやすい

「介護費用を兄弟で分担しないといけないよね、いくら出せる?」を最初の議題にすると、多くの場合、議論が止まります。出せる金額には家庭の事情が直結しており、感情の入る話題だからです。

経済負担の話は、役割分担の議論を済ませてから 切り出すのが穏当です。「主介護者は私がやる、経済負担は仕事をしている兄が多めにお願いしたい」のように、役割と経済をセットで話せると、不公平感が出にくくなります。

1 回で決め切らない

兄弟姉妹の話し合いは、1 回で全部決め切ろうとせず、3〜4 回に分けて段階的に決める ほうがうまくいくことが多いです。

  1. 1 回目:情報共有・課題整理(決めない)
  2. 2 回目:役割分担の議論
  3. 3 回目:経済負担・最終決定者の確認
  4. 4 回目:状況の変化があったときの見直し

各回の間に 1〜2 週間あけ、それぞれが自分のペースで考える時間を作ると、感情的な反発が起きにくくなります。

役割を 5 つに分けて整理する

「介護を分担する」と言ったとき、何を分担するかの輪郭が曖昧だと話し合いが進みません。介護に関わる役割は、大きく 5 つに分けて整理 できます。

5 つの役割

  1. 1
    1. 主介護者
    親の生活全般のお世話を担当する中心の人。通院付き添い・薬の管理・生活の困りごと対応など、日々の介護を引き受ける役割です。同居 or 親の近くに住むご家族が担うことが多いです。
  2. 2
    2. 経済的負担
    親本人の経済状況で足りない部分を、家族が補う場合の負担者。施設費用・在宅サービス費用・医療費の自己負担・福祉用具など、月々の出費の一部を引き受ける役割です。仕事を続けている兄弟姉妹が担うことが多いです。
  3. 3
    3. 情報共有役
    病院・ケアマネ・施設・親本人からの情報を、兄弟姉妹で共有できる形にまとめる人。LINE グループや家族ノートで「誰が見ても今の状況がわかる」状態を作る役割です。事務作業が得意な方が向いています。
  4. 4
    4. 親との日常接点
    電話・ビデオ通話・面会などで、親本人の話を聞く人。介護の実務をしなくても、「気にかけてもらえている」という安心感を親に届ける役割です。遠方の兄弟姉妹でも担いやすい役割です。
  5. 5
    5. 最終決定者
    手術の同意・施設入居の判断・終末期医療の方針など、重大局面で意思決定する人。親の意思を最も理解している人、または親が「○○に決めてもらいたい」と希望している人が担うことが多いです。主介護者と同じである必要はありません。

5 つの役割は同じ人がやらなくていい

ご家族が陥りがちなのが、「主介護者がすべての役割を兼ねる」という思い込みです。実際には、5 つの役割を 別々の兄弟姉妹に振り分ける ことが可能ですし、そのほうが負担が分散します。

たとえば、以下のような分け方が現実的です。

役割担当例(一例)
主介護者親の近くに住む長女
経済的負担仕事をしている長男(月 5 万円を仕送り)
情報共有役在宅勤務で時間に融通のきく次男(LINE グループ管理・記録)
親との日常接点全員(週 1 回の電話当番制)
最終決定者親が最も信頼している長女(主介護者と同じケース)

この分け方なら、「長女ばかりが負担している」という構図にならず、それぞれが自分の役割で関わっている形になります。

親の経済状況の把握と兄弟姉妹への共有

兄弟姉妹で介護分担を話し合うとき、避けて通れないのが 親本人の経済状況の把握 です。家族の負担分を決める前に、親本人がどれだけ自分の介護費用を出せるかをはっきりさせる必要があります。

把握しておきたい 5 項目

項目確認方法
年金の月額年金振込通知書、ねんきんネット
預貯金通帳、ネットバンキング
持っている不動産固定資産税の納税通知書
加入している保険保険証券、契約内容のお知らせ
介護保険の自己負担割合(1 割・2 割・3 割)介護保険負担割合証(毎年 8 月 1 日に切り替わり、7 月頃に市区町村から届く)

これらは別記事「親の介護はじめての30日」でも触れているとおり、介護の方針を決めるための前提情報です。

本人の同意の取り方

親本人が判断能力をお持ちの段階では、本人の同意を得たうえで 経済状況を確認するのが原則です。本人に内緒で通帳をのぞくようなやり方は、後で本人や他の兄弟姉妹との関係を悪くする原因になります。

切り出し方の一例として:

「施設費用や在宅サービスの目処を立てたいので、お父さんの年金額と預金の大体の額を教えてもらえる?兄弟みんなで分担を考えたいので、まず正直な数字を知っておきたい」

「お金を取られるのでは」という不安を持つ親御さんもいらっしゃいます。「兄弟みんなで分担を考えたい」 という枠組みを最初に伝えると、本人も話しやすくなる傾向があります。

兄弟姉妹への共有方法

把握した経済状況は、兄弟姉妹全員に共有 することが大切です。「主介護者だけが把握している」状態は、後の不信感の温床になります。

LINE グループ・共有ドキュメント・家族ノートなど、ご家族が使い慣れている形で問題ありません。共有する項目は「年金月額のレンジ」「預金の概算」「介護保険の自己負担割合」など、判断に必要な範囲で十分です。1 円単位まで開示する必要はありません。

話し合いがこじれたときの第三者の入れ方

ご家族だけで話し合いを進めていてこじれたら、第三者を入れる選択肢 があります。「家族だけで解決すべき」と思い込まず、専門家の力を借りるほうが、結果として早く落ち着くことが多いです。

入れられる第三者の候補

第三者得意な領域費用探し方
地域包括支援センターの社会福祉士介護方針の対立、家族会議への同席無料(市区町村事業)親の住所地の市区町村サイト
ケアマネジャー介護サービスの組み立て、在宅 vs 施設の判断無料(介護保険給付)地域包括の紹介・WAM NET
入居相談センターの社会福祉士施設選びの方針、費用の試算無料(紹介手数料で運営)ふれあい入居サポートセンター等の民間事業者
弁護士相続・成年後見・親の財産管理相談 30 分 5,500 円〜が一般的各都道府県の弁護士会・法テラス
司法書士成年後見の申立て、財産管理相談料は事務所により異なる司法書士会、リーガルサポート

地域包括は家族会議の同席にも対応

地域包括支援センターの社会福祉士は、家族の話し合いに同席する 役割を担うことがあります(介護保険法 第 115 条の 46 に基づく総合相談支援業務の一環)。地理的に遠方の兄弟姉妹が多い場合は、ビデオ通話での同席に対応してもらえることもあります。

切り出し方の一例:

「親の介護のことで兄弟と意見が割れていて、第三者として話し合いに同席してもらえませんか?」

社会福祉士は中立の立場で論点整理を行い、感情的な対立を和らげる役割を担います。「決定権」は家族にあるため、社会福祉士が「○○すべき」と結論を出すわけではありません。

弁護士・成年後見を入れるタイミング

以下のようなケースでは、弁護士・司法書士など法律の専門家を入れることをおすすめします。

  • 親の判断能力が低下しており、誰が財産管理をするかでもめている → 成年後見制度
  • 親の不動産や預貯金の管理で兄弟間に不信感がある
  • 相続を見据えた話し合いに発展しそうな雰囲気がある

成年後見制度については、地域包括支援センターでも相談に乗ってもらえます。

ケース別の判断ポイント

兄弟姉妹の構成や状況によって、判断のポイントは変わります。代表的な 5 つの場面で まず何をすればよいか を整理します。

ケース A:一人っ子で、兄弟がいない

兄弟姉妹がいない場合、配偶者・親戚(叔父叔母・いとこ)・親しい知人を「相談相手」として位置づける形が現実的です。

  • 配偶者と「2 人で抱える」と決め、役割を 2 人で分ける
  • 親の兄弟(叔父叔母)に状況を報告し、緊急時の連絡先になってもらう
  • 地域包括支援センター・ケアマネ・入居相談員といった専門家を多めに使い、判断を支えてもらう

まずは、配偶者と「親の介護で 2 人で抱える前提を確認する」話し合いを持つのが起点になります。

ケース B:三兄弟が全員首都圏で、密に関わっている

地理的に近く、頻繁に会える兄弟姉妹がいる場合、密度が高いゆえに摩擦が起きやすい傾向があります。

  • 主介護者を一人に決めず、ローテーション で回す(週ごと・月ごと)
  • 情報共有を LINE グループ+週 1 回の家族会議(オンライン可)で構造化
  • 経済負担と労力負担を別々に整理し、「労力で多く担う人は経済負担を軽くする」のような交換を意識

まずは、3 人で 1 時間ほど時間を取り、「主介護者を 1 人に固定しない」前提で役割を分ける話し合いを持ってください。

ケース C:海外勤務の兄弟がいる、または遠方の兄弟がいる

距離の制約が大きいケースです。物理的な介護は近い方が担うのが現実的ですが、それで「不公平」とは決めつけずに、役割を再定義します。

  • 遠方の兄弟は「情報共有役」「経済的負担」「親との日常接点(ビデオ通話)」を多めに担当
  • 近い方は「主介護者」「最終決定者」を担当
  • 時差を考慮した連絡方法(チャットツール非同期型)を採用

まずは、遠方の兄弟に「物理的な介護はこちらでやるけれど、情報共有と経済面で多めに関わってほしい」と切り出してみてください。

ケース D:親の再婚で、異父母兄弟がいる

血縁関係が複雑なケースでは、誰が法的に扶養義務を負うかが論点になることがあります。

  • 民法 第 877 条では、直系血族と兄弟姉妹は扶養義務を負う旨が定められています
  • 異父母兄弟も「兄弟姉妹」に含まれます(同父母であるか異父母であるかを問わない)
  • ただし、扶養義務は「自分の生活を維持してなお余裕がある範囲で」が原則

まずは、再婚相手側の親族とも事前に情報共有の場を持ち、感情的な対立が起きる前に役割を整理しておくのが穏当です。

ケース E:義父母の介護(自分の親ではない場合)

配偶者の親(義父母)の介護に主体的に関わるケースです。法的な扶養義務は配偶者にあり、自分には直接ありませんが、現実には配偶者と一緒に介護を担うことが多いです。

  • 「義理の親の介護」は、自分の親に比べて感情的な距離が違うことを、配偶者と最初に共有する
  • 「配偶者が決めて、自分はサポート」というスタンスを基本に置く
  • 自分の親の介護が同時並行で発生しないよう、自分の親の経済状況・健康状況も並行して把握しておく

まずは、配偶者と「義父母の介護はあなたが中心、私はサポートに回る」という役割の起点を共有してください。

よくあるご質問

Q. 仕事を辞めない兄弟は介護費用を多く負担すべきですか?

A. これは家族の中で合意できれば「あり」の整理です。労力(時間・気力)と経済(お金)は、互いに交換できる介護資源です。仕事を続けて経済負担を多めに担当する兄弟と、仕事をセーブして主介護者になる兄弟 という形は、現実的な分担パターンの一つです。ただし「絶対に多く出すべき」というルールはなく、各家庭の事情で決めるものです。

Q. 「平等に分ける」と兄弟は言っているのに、現実は私ばかり負担しています。どうすればよいですか?

A. 「平等」を一度脇に置いて、「役割で分ける」発想に切り替えてみてください。本記事の s3 で紹介した 5 つの役割を兄弟姉妹で見せ合い、自分が今どの役割をどれだけ担っているか、相手はどの役割を担っているかを 見える化 してみると、不均衡が事実として浮かび上がります。「不平等だ」と感情で訴えるより、事実ベースで再分担を提案するほうが、相手も受け入れやすくなります。

Q. 兄弟姉妹に介護を拒否されました。どうすればよいですか?

A. まずは「拒否」の背景に何があるかを聞いてみてください。経済的な余裕がない、過去の親子関係のしこりがある、自分の家庭の事情がある、など、表面的な拒否の奥に理由があることが多いです。完全に関係を絶たれている場合は、地域包括支援センターの社会福祉士に同席してもらい、第三者を交えて話し合う場を設定する選択肢があります。それでも難しい場合は、ご家族だけで抱え込まず、ケアマネジャーや入居相談センターなどの専門家を多めに使って介護体制を組むことになります。

Q. 子どもがいない独身の兄弟の介護負担は重くすべきですか?

A. 独身か既婚か、子どもがいるかいないかで介護負担を決めるのは、適切ではありません。各人の経済状況・労力で出せる時間・親との関係性で決めるのが原則です。「独身だから介護できるでしょう」という決めつけは、その兄弟との関係を悪くする原因になります。むしろ、独身の方が自分の老後の備えを必要としていることも多く、無理を強いる形は避けたほうが穏当です。

Q. 親が「長男に頼みたい」と言うので、長男ばかり負担が偏ります。

A. 親世代には「長子に頼る」価値観が残っていることがあり、それを完全に変えるのは難しい場面もあります。ただし、長男が一人で全てを背負う必要はなく、「長男が最終決定者として顔を立て、実務は兄弟姉妹で分担する」 という整理は十分に可能です。長男の負担を見える化したうえで「兄が決めるけれど、実際の動きはみんなで分ける」と親に説明すれば、納得していただけることも多いです。

Q. 親が「経済状況を兄弟に共有してほしくない」と言います。どうすればよいですか?

A. 親本人の意向は尊重しつつ、「兄弟みんなで介護を考えるためには、ある程度の経済情報が必要だ」と粘り強く説明する形が現実的です。それでも難しい場合は、親本人の同意を得た範囲で(たとえば年金額のレンジ・自己負担割合だけ)共有することから始めてみてください。判断能力が低下している場合は、成年後見制度の活用も視野に入ります。

Q. 介護分担で揉めて兄弟と疎遠になりました。関係修復するにはどうすればよいですか?

A. 介護を機に関係がこじれることは、残念ながら珍しくありません。修復は、まず 「介護分担の話し合いで傷つけた・傷ついた」ことを認める ところから始まります。第三者(地域包括支援センターの社会福祉士、信頼できる親戚、心理カウンセラーなど)を介して、感情を整理する場を持つことを検討してみてください。親が亡くなった後の相続の話し合いで、再度関係が試されることもあるため、早めに整える価値があります。

まとめ

兄弟姉妹で介護分担を決めるときは、「公平に分ける」のではなく「役割で分ける」 発想で組み立てるのが、こじれを和らげるコツです。

  1. 構造的に揉めやすい 3 つの要素(距離・経済・親への近さ)の不均衡を、まず認める
  2. 話し合いの順番 を意識する(情報共有 → 課題整理 → 役割 → 経済 → 最終決定者)
  3. 5 つの役割(主介護者 / 経済負担 / 情報共有 / 親との接点 / 最終決定者)を兄弟姉妹で振り分ける
  4. 親の経済状況 を本人同意のうえで把握し、兄弟姉妹で共有する
  5. こじれたら 地域包括支援センターの社会福祉士など第三者 を入れる選択肢がある

ご家族だけで話し合いを抱え込まず、専門家の手を借りてみてください。お気軽にご相談ください。ふれあい入居サポートセンター(葛飾相談室)では、社会福祉士などの専門の相談員が、ご家族の話し合いを整理するお手伝いをします。ご相談・施設のご紹介は無料です。

参考文献・公的資料

  1. 厚生労働省「地域包括支援センターについて」(2026年5月閲覧)
  2. 介護保険法 第115条の46(地域包括支援センターの業務)
  3. 民法 第877条(直系血族・兄弟姉妹の扶養義務)
  4. 厚生労働省「家族介護者への支援について」(2026年5月閲覧)
  5. 厚生労働省「成年後見制度の現状」(2026年5月閲覧)
  6. 法務省「成年後見制度・成年後見登記制度」(2026年5月閲覧)

関連する特集記事