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コラム介護のはじめ方ご家族向け

親の介護はじめての30日
— 社会福祉士が30日の進め方を解説 —

親が転倒で入院した、退院期日を病院から告げられた、突然の連絡で実家に駆けつけた――。 予期せず介護が始まり、調べるほどに知らない言葉が増えて、何から手をつければよいか整理できないと感じていませんか。 迷うのも、整理しきれないのも、自然なことです。 この記事では、退院期日まで 30日 というケースを想定し、退院後の進み方(自宅・老健・施設)と時期(最初の3日、1週間、2週間、1ヶ月以内)を組み合わせて、社会福祉士が判断の道筋をまとめてお伝えします。焦る必要はありません。一歩ずつ進めていけば、ご家族にとって納得のいく形が見えてきます。
掲載日:2026.05.08|監修:社会福祉士・入居相談員
この記事の要点

退院期日に追われた30日では、「決め切る」のではなく「決まらないまま動き出す」進め方が大切です。

退院期日が迫っていても、慌てなくて大丈夫です。最初の3日でまず情報を集める、1週間以内に介護保険などの申請を始める、2週間以内に相談相手を探す、1ヶ月以内に住まいを決める。この順番でひとつずつ進めていけば、仕事を続けながらでも形になっていきます。本記事は、退院後の進み方(自宅・老健・施設)と時期を組み合わせて、ご家族の動きを社会福祉士の視点からまとめてお伝えします。
中川 優美(社会福祉士・入居相談員)
この記事の監修者

中川 優美Yumi Nakagawa

社会福祉士。ふれあい入居サポートセンター葛飾相談室にて、入居相談を担当。退院期日に追われたご家族からの初めてのご相談を多く扱い、判断の道筋を整理するお手伝いをしている。
社会福祉士(国家資格)ふれあい入居サポートセンター 葛飾相談室高齢者向け住まい紹介事業者届出 25-0881
編集ポリシー:本記事は、介護保険制度・要介護認定については厚生労働省の公開情報、施設類型・人員配置基準については厚生労働省「高齢者向け住まい・施設の概要」および公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」の公開資料、地域窓口の運用については複数自治体の公開資料に基づいて執筆しています。具体的な金額・所得区分・基準額は介護報酬改定や省令改正で変更されるため、最新の値は厚生労働省および各自治体の公式ページをご確認ください。本記事内の事例はイメージで、特定の個人を表すものではありません。

まずは30日の進め方の全体像から

退院期日まで30日という限られた時間で、ご家族が同時に進めるべきことは、「退院後の進み方(自宅・老健・施設のどれにするか)」と「30日のどの時期に何をするか(最初の3日、1週間、2週間、1ヶ月以内)」を組み合わせて整理できます。

時期自宅へ戻る場合老健でリハビリする場合施設に入居する場合
最初の3日
まずは情報を集める
病状・退院期日・自宅の様子の確認、兄弟姉妹への最初の連絡<共通><共通>
1週間以内
介護保険などの申請を始める
要介護認定の申請、地域包括支援センターへの相談、親の経済状況の把握<共通><共通>
2週間以内
相談相手を探す
ケアマネジャーを探す、訪問介護・通所介護の事業所選び老健への入所申し込み、リハビリの目標を確認入居相談センターを上手に使う、候補となる施設の見学・条件の相談
1ヶ月以内
住まいを決める
福祉用具・住宅改修の手配、退院日に合わせた在宅医療の準備入所手続き、3〜6か月後の次の動きの見通し契約・重要事項説明、退院日の入居手続き

最初の1週間までは 3 つの進み方で同じで、2 週間目以降で進み方ごとの動きが分かれていきます。大切なのは、最初の1週間までの段階で進む方向を1つに決め切らないことです。情報を集め、介護保険などの申請を進めながら、2 週間目に複数の進み方を同時に考え、最後の1週間で住まいを決めるほうが、結果として後悔の少ない判断につながります。

そもそも何が起きているのか

突然親の介護に直面したとき、ご家族が知っておくべき前提が 2 つあります。

急性期病院の在院日数

転倒・骨折・脳血管疾患などで一般病床(急性期病床)に入院した場合、在院日数は短くなっているのが今の医療制度の標準です。多くの病院では、入院後すぐから「退院支援」が始まり、退院調整看護師や 医療ソーシャルワーカー(MSW、Medical Social Worker) が、退院後の住まいや在宅サービスについてご家族と相談を始めます。

「もう退院ですか」と感じるかもしれませんが、これは個別の病院の都合ではなく、医療制度全体の仕組みによるものです。長期療養が必要な場合は、急性期病床から 回復期リハビリテーション病棟地域包括ケア病棟、あるいは 介護老人保健施設(老健) といった次の段階の医療機関や介護施設に移るのが一般的です。

「自宅・老健・施設」3つの進み方

退院後の進み方は、大きく分けて次の 3 つに分けられます。

  1. 1
    自宅へ戻り、訪問介護・通所介護で支える
    親御さんが自宅復帰を強く望み、家族や訪問サービスで日常生活が回せる場合の進み方です。要介護認定とケアマネジャー探し、訪問介護・通所介護の手配が必要になります。福祉用具のレンタル・住宅改修も視野に入ります。
  2. 2
    介護老人保健施設(老健)でリハビリする
    在宅復帰を目指して短期(おおむね3〜6か月)入所し、リハビリを行う施設です。「自宅に戻れるか、施設にするか、迷っている」段階で判断を保留しながら時間をとるやり方としても使われます。
  3. 3
    老人ホーム(特養・介護付き有料・住宅型・サ高住・グループホーム等)に入居する
    自宅復帰が難しい場合に選ぶ進み方です。施設タイプにより費用・受入条件・医療体制が大きく異なるため、2 週間目以降で詳しく比べる必要があります。

「進む方向を決めなければ次に進めない」と思いがちですが、現場では 老健でリハビリしながら、その間に在宅と施設入居を検討する ケースも多くあります。最初から決め切る必要はありません。

最初の3日でやること(まずは情報を集める)

入院の連絡を受けたら、まず最初の 3 日でやるべきは「情報を一箇所にまとめる」ことです。判断はまだせず、情報を集めることに集中しましょう。

病院から確認する 5 項目

入院した病院の主治医・退院調整看護師・MSW のいずれかに、次の 5 項目を確認してください。

  1. 病状と治療方針(手術の有無、リハビリの必要性、退院時の見込まれる状態)
  2. 在院日数の目安・退院期日(おおよその目処、延長できるかどうか)
  3. 退院支援の窓口(MSW か退院調整看護師か。担当者の氏名と連絡先)
  4. 要介護認定の有無(既にお持ちの場合は介護度・有効期限。なければこれから申請)
  5. 退院時に想定される医療処置(経管栄養・吸引・点滴・在宅酸素などの有無)

この 5 項目は、後にケアマネジャーや入居相談員と話すときの 共通言語 になります。曖昧なままだと、すべての話が前に進みません。

親の自宅の様子を確認する

可能であれば、入院から数日以内に親の自宅(実家)を一度訪問します。確認するのは次の点です。

  • 親が一人で生活していた様子(生活動線、転倒の危険があった場所)
  • 食事の状況(冷蔵庫の中身、調理器具の使用状況)
  • 服薬の管理状況(薬の残数、お薬手帳の場所)
  • 経済関連書類の場所(年金通知、預金通帳、保険証券、健康保険証、介護保険被保険者証、介護保険負担割合証)

この情報は次の1週間で必ず必要になります。「あとから探す」状態を避けるためです。

兄弟姉妹に最初の連絡をする

「介護のことを一緒に考えたい」と、まっさらに伝えてみてください。この段階では、誰が何を担当するかや費用の分担の話はしないほうが穏当です。決まっていない情報の上で話し合うと、後で覆して揉める原因になります。

メッセージやLINEグループなどで、病院からの説明・親の経済状況・候補となる施設の情報を時系列で伝え合っておくと、後で話し合うときにスムーズです。

1週間以内にやること(介護保険などの申請を始める)

3 日で情報を集め終えたら、次の 1 週間で 介護保険などの申請 を始めましょう。ここで動き出しておくと、その後の流れがスムーズになります。

要介護認定の申請

「要介護認定」は、介護保険サービスを使うために必要な、行政による判定です。

項目内容
申請窓口親の住民票がある市区町村の介護保険担当課
申請する人本人または家族(本人の同意があれば家族が代わりに申請可。地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の代行申請も可能)
必要書類介護保険被保険者証(65歳以上)または医療保険被保険者証(40〜64歳の特定疾病該当者)、申請書、主治医の連絡先
判定までの期間申請から 30日以内(介護保険法 第27条第11項)
判定の流れ認定調査員による訪問調査(74項目) → 主治医意見書 → 一次判定(コンピュータ判定) → 二次判定(介護認定審査会)→ 要支援1〜2・要介護1〜5の7区分のいずれかに決定
有効期間新規申請は原則6ヶ月(状態により3〜12ヶ月で設定)。更新時は最大36ヶ月まで延長されることがあります(自治体・状態により異なる)
認定の効力申請日にさかのぼる

地域包括支援センターへの相談

地域包括支援センター」は、市区町村が設置する高齢者の総合相談窓口です。社会福祉士・主任ケアマネジャー・保健師の 3 職種がいて、無料で相談できます。

  • 親の住所地の地域包括支援センターを検索(市区町村サイトで公開、人口 2〜3 万人圏ごとに 1 つ程度)
  • 電話で「親が入院中で、退院後の住まいを考えている」とお伝えください
  • 訪問・電話・来所のいずれかで初回相談の予定を入れます

地域包括支援センターは、介護保険サービスの利用全般・在宅医療・成年後見・生活保護など、複数の制度をまたぐ相談に対応してくれます。「何の話をすればいいか分からない」段階でも、まずはお電話やご訪問でお話しいただいて大丈夫です。

親の経済状況の把握

退院後の進み方を絞るためには、親の経済状況の把握が欠かせません。施設費用・在宅サービス費用の負担可能額が見えないと、無理なく選べる候補を絞り込めません。

項目確認方法
年金額(月額)年金振込通知書、ねんきんネット
預貯金通帳、ネットバンキング
持っている不動産固定資産税の納税通知書
加入している保険保険証券、契約内容のお知らせ
介護保険の自己負担割合(1割・2割・3割)介護保険負担割合証(毎年8月1日に切り替わり、7月頃に市区町村から届く)
後期高齢者医療被保険者証75歳以上は別の保険証

特に 介護保険の自己負担割合 は、後の費用試算で重要になります。負担割合は毎年8月1日に切り替わるため、7月頃に新しい証が市区町村から届きます。最新のものを確認してください。

知っておきたい費用軽減のしくみ

低所得・要介護度が高いケースでは、以下の制度で費用負担が軽くなる可能性があります。

  • 特定入所者介護サービス費(補足給付):所得段階・資産要件に該当すれば、介護保険施設・短期入所利用時の食費・居住費が軽減
  • 高額介護サービス費:1か月の介護サービス費自己負担が所得区分別の上限を超えた場合、超過分が払い戻し
  • 高額医療・高額介護合算療養費:医療と介護の自己負担が年間で一定額を超えた場合の払い戻し

該当しそうな場合は、地域包括支援センターまたは市区町村の介護保険担当課に「補足給付の対象になりますか」とお尋ねください。具体的な金額や所得区分は介護報酬改定で変わる可能性があるため、最新の公式情報をご確認ください。

2週間以内にやること(相談相手を探す)

介護保険などの申請をひととおり済ませたら、次の 1 週間で 相談できる専門家を探します。これからの判断を、ご家族だけで抱え込まないための準備です。

ケアマネジャー(介護支援専門員)を探す

要介護 1〜5 の認定が出る場合(出る見込みの場合)、ケアマネジャーがケアプランを作ります。居宅介護支援費は全額介護保険給付で利用者負担はありません(よくある誤解で、ここは無料です)。

ケアマネジャーは、一般的に次のような方法で探します。

  • 地域包括支援センターからの紹介
  • WAM NET(独立行政法人福祉医療機構の事業所検索サイト)で居宅介護支援事業所を検索
  • 病院の MSW からの紹介

「合わない」と感じたら、途中で別のケアマネジャーに切り替えることもできます。最初から完璧な相手を見つけようとせず、まず動き出すことを優先しましょう。

入居相談センター(紹介事業者)を上手に使う

施設入居が選択肢に入る場合、入居相談センターを使う方法があります。費用や受入条件で施設を絞り込み、見学同行や契約の手続きまで一貫してサポートしてくれる事業者です。ご相談・施設のご紹介は無料で(事業者が施設から紹介手数料を受け取る仕組み)、入居相談員(社会福祉士などの有資格者)が担当します。

専門家の役割を見比べる

専門家ごとの役割を見比べてみましょう。

専門家主な役割費用探し方
MSW(医療ソーシャルワーカー)入院中の退院支援、医療と介護の橋渡し病院の機能(無料)入院した病院
地域包括支援センター高齢者の総合相談(介護・医療・成年後見・生活保護等)無料(市区町村事業)親の住所地の市区町村サイト
ケアマネジャー在宅サービスのケアプラン作成・調整無料(介護保険給付)地域包括・WAM NET・MSW 紹介
入居相談センター施設選び・見学同行・契約サポート無料(施設から手数料)ふれあい入居サポートセンター等の民間事業者

候補となる施設を絞って見学に行く

入居が候補に入る場合、ケアマネジャー・入居相談員と相談しながら候補となる施設を 3〜5 件にしぼります。見るポイントは次の 4 つです。

  1. 費用:月額 + 入居一時金が、親の年金・預金から無理なく支払えるか
  2. 受入条件:要介護度・医療処置・認知症の有無・生活保護受給などへの対応
  3. 立地:家族が面会しやすい範囲(電車・車で 30 分以内が目安)
  4. 医療体制:看護師の常駐時間、嘱託医、協力医療機関、看取り対応の有無

見学は 平日昼の入居者が活動している時間帯(11:00〜14:00 頃)が、施設の雰囲気を最もつかみやすい時間帯です。

1ヶ月以内にやること(住まいを決める)

専門家を見つけて候補が出揃ったら、最後の 1 週間で 住まいを決めます

兄弟姉妹と話し合って決める

最初の3日で兄弟姉妹に連絡したメッセージグループに、ここまでの情報をまとめて伝えます。

  • 病院からの退院期日と医療状況
  • 親の経済状況(年金 / 預貯金 / 月の負担可能額)
  • 候補となる施設の比較表(費用・立地・医療体制・受入条件)
  • 入居相談員またはケアマネジャーの所感

話し合う場は、直接会っても電話やビデオ通話でも構いませんので、1時間ほど時間をとって1回持つのがおすすめです。「誰が何を担当するか」の話は、住まいの方針が決まったあとに話すと揉めにくくなります。「決めるべきこと」と「分担すべきこと」を分けて話し合うと、話が進みやすくなります。

入居 or 在宅復帰の手続き

施設入居の場合:

  1. 申込書の提出(仮申込み・本申込みの場合あり)
  2. 施設による入居判定(実態調査・本人面談)
  3. 重要事項説明書の確認・契約
  4. 退院日のお迎え(病院から施設まで)

在宅復帰の場合:

  1. ケアプランの最終調整
  2. 必要な訪問サービスの開始日調整
  3. 福祉用具のレンタル・住宅改修の手配
  4. 退院日に合わせた在宅医療体制の整備

入居後・在宅復帰後の最初の 1 ヶ月

住まいが決まれば終わり、ではありません。入居後・在宅復帰後の 最初の 1 ヶ月 で次の点を確認します。

  • 親が新しい環境に馴染めているか
  • ケアプラン通りにサービスが提供されているか
  • 家族の連絡方法・面会頻度の調整
  • 必要な手続き(住所変更、郵便物の転送、行政の各種届出)

ふれあい入居サポートセンターでは、入居後3か月間は定期的にお声がけしており、施設での生活でお困りごとがないかお伺いしています。

ケース別の判断ポイント

ご家族の状況によって、判断のポイントは変わります。代表的な 6 つの場合で、まず何をすればよいかをまとめてお伝えします。

ケース A:親が遠方に住んでいる場合

電話・オンライン相談を最大限活用します。地域包括支援センターは 電話相談・代行申請 が可能ですし、ケアマネジャーや入居相談員も多くがビデオ通話に対応しています。週末ごとの帰省では「すべてやろう」とせず、判断が必要な場面に絞って訪問するのが、長く続けるコツです。

まずは、親の住所地の地域包括支援センターに電話で「家族が遠方なのですが」と前置きしてご相談ください。

ケース B:兄弟姉妹間で意見が割れている場合

対立が起きやすいのは、「経済負担」と「介護方針(在宅 vs 施設)」の 2 点です。地域包括支援センターやケアマネジャーに 第三者として話し合いに加わってもらうことで、感情的な対立を和らげられます。最終的に判断する人は「費用を負担する人」に置く、というのも一つの整理の仕方です。

まずは、地域包括支援センターに「家族の話し合いに同席してもらえますか」と相談してみてください。

ケース C:親の経済状況が厳しい場合

年金が少ない・預貯金がほぼない場合でも、選択肢はあります。

  • 公的施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院)の費用負担軽減(補足給付・高額介護サービス費)
  • 生活保護受給 を視野に入れる
  • 月額10万円台で入居できる住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅

経済状況が厳しいケースは特に、社会福祉士の力が活きる場面です。地域包括支援センターまたは入居相談センターに「年金しかなく、預貯金もない」と正直にお伝えください。

まずは、地域包括支援センターで「補足給付の対象になりますか」「生活保護の申請窓口はどこですか」を確認してみてください。

ケース D:認知症が進んでいる場合

要介護認定の認定調査では、認知機能の項目も評価されます。認知症が進行している場合は、認知症対応型グループホーム認知症対応の介護付き有料老人ホーム が候補になります。

注意点として、グループホームは 地域密着型サービス のため「親の住所地と同じ自治体内」が原則です。家族の住む地域ではなく親の住所地で探します。

まずは、親の住所地の市区町村サイトで「認知症対応型共同生活介護」の事業所一覧を確認してみてください。

ケース E:身寄りがない・身元保証人を頼めない場合

身元保証人を立てられない場合でも、入居先は確保できます。

  • 身元保証会社の利用(月額 1〜3 万円程度の費用が発生する場合あり)
  • 保証人不要を明記している施設を選ぶ
  • 成年後見制度の活用(判断能力が低下している場合)

詳しくは別記事で解説予定ですが、入居相談センターで保証会社の手配・成年後見の専門職紹介まで一緒に進められる事業者もあります。

まずは、入居相談センターに「身元保証人を立てられないのですが」と最初の段階でお伝えください。

ケース F:主介護者(子)も働いている場合(ビジネスケアラー)

仕事と介護の両立は、退職を選ばないために制度の組み合わせが鍵になります。

  • 介護休業制度:対象家族1人につき最大93日(3回まで分割可)
  • 介護休業給付金:介護休業期間中、雇用保険から 休業前の賃金の約67% が支給されます(雇用保険加入者が対象。給付期間は介護休業と同じ最大93日)
  • 介護休暇:年5日(対象家族2人以上は10日)、半日単位・時間単位で取得可
  • 短時間勤務・所定外労働の制限:勤務先の介護両立支援制度の規定を確認

平日昼の手続きや見学が難しい場合は、地域包括支援センターの代行申請入居相談センターの平日土日対応 を活用してください。

まずは、勤務先の人事・労務担当に「介護休業給付金を使いたい」と相談し、ハローワークでの申請手続きの段取りを確認してみてください。

よくあるご質問

Q. 要介護認定が出るまで、介護保険サービスは使えないのですか?

A. 認定の効力は申請日にさかのぼるため、認定結果が出る前でも暫定ケアプランでサービスを利用し始められます。ケアマネジャーが暫定プランを作り、認定結果が出たあとに介護保険給付として精算する仕組みです。「待ってから使う」のではなく「申請したら動き出す」と覚えてください。

Q. 兄弟姉妹に最初にどう声をかければいいですか?

A. 「介護のことを一緒に考えたい」とまっさらに伝え、最初の連絡時点では誰が何を担当するかや費用の分担の話はしないことをおすすめします。決まっていない情報の上で話し合うと、後で覆して揉める原因になります。メッセージやLINEグループなどで、病院の説明・親の経済状況・候補となる施設の情報を時系列で伝え合っておくと、あとの話し合いがスムーズです。

Q. 病院 MSW(医療ソーシャルワーカー)には、いつ相談すればよいですか?

A. 入院から数日以内、できるだけ早い段階で相談を始めるのがおすすめです。「家族で決めてから相談したい」と遠慮される方が多いのですが、MSW は退院支援のプロで、選択肢の整理を一緒にしてくれます。「家族としてはまだ何も決まっていません」と正直に伝えても問題ありません。

Q. 仕事を辞めずに介護できますか?

A. 介護休業制度(最大 93 日、3 回まで分割可)と介護休暇(年 5 日、対象家族 2 人以上は 10 日)を活用し、地域包括支援センターやケアマネジャーへ早めに相談し、施設サービスも組み合わせれば、介護のために仕事を辞めずに済むことは十分に可能です。「自分が全部やる」前提を一度手放し、社会の助けを組み合わせる発想が大切です。

Q. 親の経済状況がわからない、どこから手をつけるべきですか?

A. まずは年金振込通知書・通帳・介護保険被保険者証・介護保険負担割合証の 4 点を確認してください。これだけで、月々に支払える金額と介護保険サービスの自己負担割合(1 割・2 割・3 割)の見当がつきます。本人に聞きづらい場合は、入院中の落ち着いたタイミングで「施設の費用を試算するのに必要だから」と前置きして相談する形が穏当です。

Q. 特養の待機が長いと聞きました。それでも申し込む意味はありますか?

A. 全国の特養の入所申込者は 2013 年度の 52.4 万人から 2025 年 4 月時点で約 22.5 万人へとほぼ半減しており、状況は改善傾向にあります。要介護度が高いほど優先度が上がる仕組みなので、要介護 3 以上であれば申し込みをして並行して検討する価値は十分にあります。「介護付き有料に入りつつ、特養の順番を待つ」進め方をされるご家族も多いです。

Q. 親が施設入居を強く拒んでいます。どうすればよいですか?

A. 本人の希望を尊重しながら、ショートステイで施設を体験してもらう、デイサービスを段階的に増やすなど、徐々に環境に慣れる方法があります。それでも在宅が難しい場合は、地域包括支援センターやケアマネジャーに第三者として話し合いに加わってもらうこともあります。「家族 vs 親」の構図を避け、「専門家を交えて整理する」場に持ち込むのが穏当です。

Q. 退院期日が来ても、30 日では決め切れませんでした。どうすればよいですか?

A. 介護老人保健施設(老健)に入って 3〜6 か月のリハビリ期間にあてながら次を考える、住宅型有料老人ホームに一時的に入居する、医療療養病床へ転院する、などの方法があります。「決め切る」のではなく「時間をとる」という発想に切り替えると、選択肢が見えてきます。MSW やケアマネジャーに「迷っています」とそのまま伝えてください。

まとめ

突然親の介護に直面したとき、最初の 30 日は「退院後の進み方」と「時期」を組み合わせて進めると、無理がありません。

  1. 最初の3日:病状・退院期日の把握、兄弟姉妹への最初の連絡、自宅の様子の確認(まずは情報を集める)
  2. 1週間以内:要介護認定の申請、地域包括支援センターへの相談、親の経済状況の把握(介護保険などの申請を始める)
  3. 2週間以内:ケアマネジャー・入居相談員を探す、候補となる施設を選ぶ(相談相手を探す)
  4. 1ヶ月以内:兄弟姉妹と話し合って決める、契約・入居手続き、入居後の見守りの準備(住まいを決める)

最初の1週間までは 進む方向を1つに決め切らない ことが、結果として後悔の少ない判断につながります。「自分一人で全部抱える」前提を一度外して、地域包括支援センター(無料・公的)、ケアマネジャー(無料・介護保険給付)、入居相談センター(無料・施設からの手数料で運営)といった専門家に早めに頼ってみてください。

30日は短く感じる時期ですが、順番に進めていけば動かせます。整理しきれないのは当然のことです。お気軽にご相談ください。ふれあい入居サポートセンター(葛飾相談室)では、社会福祉士などの専門の相談員が直接お話を伺い、退院期日が迫るご相談にも素早く対応しています。ご相談・施設のご紹介は無料です。

参考文献・公的資料

  1. 厚生労働省「介護保険制度の概要」(2026年5月閲覧)
  2. 厚生労働省「要介護認定について」(2026年5月閲覧)
  3. 介護保険法 第27条(要介護認定)、第8条(居宅サービス・施設サービス)
  4. 厚生労働省「地域包括支援センターについて」(2026年5月閲覧)
  5. 厚生労働省「介護休業制度・介護休暇」(2026年5月閲覧)
  6. 厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和7年度)」(2025年4月1日時点、2026年5月閲覧)
  7. 厚生労働省「特定入所者介護サービス費(補足給付)」関連通知(2026年5月閲覧)
  8. 公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」(2026年5月閲覧)

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